ヒロの婚活心理学
婚活&お見合いで「気遣いが上手なスマートな女性」と夏帆症候群Ⅳ
婚活における「夏帆症候群」とは、親や周囲の期待をよく理解し、「間違わない人生」を生きてきた人が、結婚という正解のない選択を前にして、「私は誰を愛したいのか」「誰と、どんな人生を生きたいのか」という、自分自身の欲望(気持ち)に戸惑ってしまう状態です。村上春樹の小説『夏帆』の主人公の名前から取られています。
「婚活における”夏帆症候群”」シリーズ第四弾
お見合いは盛り上がるのに、なぜか疲れる。
まず、今日お伝えしたいこと
お見合いでは会話が弾むし、相手からの交際希望も多い。
それなのに、家に帰るとドッと疲れて、「もう一度会いたい」という気持ちになれない。
そんな婚活女性が多くいます。
婚活のお見合いでは、会話が苦手なことばかりが問題にされますが、実はその逆もあります。
相手の話をよく聞き、話題が途切れそうになれば自然に質問を返し、相手が緊張していればこちらから場を和ませる。
こういうことを、ほとんど無意識にできる女性です。
お見合い相手から見れば、「話しやすい女性」でしょう。
だから必ずと言って良いほど交際希望も来る。
それなのに本人は、ちっとも楽しくない。
このシリーズで、婚活における「夏帆症候群」と呼んでいるのは、周囲に合わせることを長く上手にやってきた人が、婚活のように「自分は誰と生きたいのか」を選ばなければならない場面で、自分の気持ちを見失ってしまう状態です。
その一つの現われ方が、この「スマートすぎるお見合い」です。
あなたの気遣いが偽物なのではありません。
むしろ、適応が上手すぎて、本物だからこそ厄介なのです。
ただ、その能力がいつの間にか、相手と本当に交わらなくても一時間を無事に終えられる「ガード」になっていることがあります。
今回お伝えしたいのは、会話術をもっと磨く方法ではありません。
むしろ少しだけ、会話を上手にやるのをやめてみませんか、という提案です。
01|お見合いが終わるまで、ずっと働いている
たとえば、お見合いで男性が仕事の話を始めたとします。
少し専門的で、正直なところ、それほど興味はない。
それでも相槌を打ちながら話の糸口を見つけ、「そのお仕事を選ばれたきっかけは何だったんですか?」と自然に質問を返す。
男性は楽しそうに話し始めます。
話題が一段落すると、今度はプロフィールに書いてあった旅行の話へ移る。
沈黙が訪れそうになれば、その前に次の話題が出てくる。
一時間は、きれいに流れていきます。
お見合いのあと、男性からは「とても話しやすかったです」と交際希望が届く。
ところが女性は帰りの電車に乗った途端、ぐったりしている。
「悪い人ではなかったけれど、もう一度会いたいかと言われると……?」
不思議ですよね。
会話はあれほど盛り上がったのに、自分の中には何も残っていない。
でも考えてみれば、彼女は一時間、ずっと会話をしていたというより、会話を「運営」していたのかもしれません。
これはもう立派な「夏帆症候群」──ある意味、過剰適応な女性──と言えます。
02|「感じのいい女性」のままでは、誰にも会えない
気配りのできる女性に、「もっと自分を出しましょう」と言っても、あまり役には立ちません。
本人はすでに自分を出しているつもりだからです。
笑っていますし、自分の仕事についても話す。
趣味を聞かれれば答えるし、ときには冗談だって言う。
問題は、何を話したかではありません。
相手がどう受け取るかを、先回りして調整していることです。
「ここで反対すると空気が悪くなるかな」
「この話は相手も興味がなさそうだから、もうやめよう」
そんな判断が非常に速いので、会話は滑らかに進みます。
それは、これまでの人生で身につけた大切な能力でしょう。
職場でも友人関係でも、その気遣いに助けられた人はきっといるはずです。
ただ、結婚相手との関係まで同じ方法でつくろうとすると、一つ困ったことが起きます。
二人が、なかなかぶつからないのです。
ここでいう「ぶつかる」は、喧嘩をするという意味ではありません。
自分はもう少し話したいのに、相手は話題を変えた。
相手は面白そうに話しているけれど、自分にはよく分からない。
たとえばお見合いで、ふと沈黙が訪れて、次に何を話せばいいのか二人とも分からない。
本来、人と人が初めて出会えば、こういう小さなズレは必ず起きますし、それが醍醐味だったりもします。
ところが接客上手な人は、それが表面に出る前に、きれいに整えてしまう。
だから、お見合いは成功する。
でも、「私と彼が会った」という感じの手応えが残らないのです。
婚活で「いい人なのに好きになれない」と感じる背景については、こちらでも詳しく書いています。
03|沈黙を、相手に返してみる
次のお見合いで、一つだけ試してほしいことがあります。
会話が途切れたとき、すぐに助けないでください。
沈黙が来たら、そのまま数秒待ってみる。
いつもなら「そういえば、プロフィールに旅行がお好きとありましたけど……」と次の話題を差し出すところで、少しだけ黙ってみるのです。
これは相手を試すためではありません。
あなた一人で背負っていた「二人の会話」を、相手にも半分返すためです。
すると、初めて見えるものがあります。
相手が自分から話題を探してくれるかもしれないし、「何か聞きたいことあります?」とこちらに関心を向けてくれるかもしれない。
二人で少し笑って、「なんか黙っちゃいましたね」と言えることだってあるでしょう。
もちろん、気まずい沈黙になることもあります。
でも、それも──これから結婚するかもしれない二人にとって大切な情報です。
あなたが完璧に場を整えているあいだは、その男性が「一緒に関係をつくれる人なのか」が見えません。
夏帆症候群の人にとって、少し不親切になることは、案外怖いものです。
気が利かないと思われるかもしれないし、相手を退屈させるかもしれない。
それでも、少しだけ場の流れに任せてみる。
結婚生活では、あなたが疲れている日も、機嫌のよくない日もあります。
そのたびに二人の間の空気を整え、相手を楽しませ続けることなどできません。
だったら婚活のうちから、「何もしない私」が二人の間にいても大丈夫なのかを確かめておくほうがいいのです。
04|「話しやすい女性」から、二人で話せる関係へ
お見合いの成功を、「会話が盛り上がったか」だけで測らないでください。
帰り道に、こんなことを考えてみてほしいのです。
「今日は、私もあの人に会っていたと言えるかな」
相手の話を上手に聞き、感じよく一時間を終えただけなら、彼はあなたに会ったつもりでも、あなた自身はまだ十分そこにいなかったのかもしれません。
結婚相手に必要なのは、あなたのおもてなしを喜んでくれる人ではなく、それがなくても二人で関係を動かしていける人です。
沈黙しても、少し意見が違っても、あなたが疲れて会話を盛り上げられない日でも、それでも二人の間に何かが残る。
夏帆症候群から抜け出すために必要なのは、これまで身につけた気遣いを捨てることではありません。
その優しさを持ったまま、ときには相手に任せられるようになることです。
「お見合いでは好かれるのに、なぜか自分は疲れてしまう」という方には、相手に合わせすぎる婚活について扱ったこちらの記事も参考になると思います。
リアルラブでは、お見合いの結果だけでなく、「その一時間を、あなた自身はどう過ごしていたか」まで一緒に振り返ります。
交際希望をたくさんもらうことが、婚活のゴールではありません。
あなたが頑張って場を回さなくても、一緒にいられる一人を見つけること。
その人となら、婚活の先にある結婚生活も、ずっと楽になるはずです。