ヒロの婚活心理学
「自由からの逃走」と結婚──“コスパ悪い”と思い込む君へ【第4話】
「結婚はコスパ悪い」と言う前に──本当に“孤独の維持費”を計算したことがありますか?自由を守りたいと願う婚活世代の多くが、実は“幸せに慣れていないだけ”なのかもしれません。
効率と自己責任の時代に生きる私たちは、いつの間にか“恋愛や結婚までコスパで測るクセ”を身につけてしまいました。けれど、結婚とは“非効率で豊かな選択”。時間も手間もかかるけれど、その不確実さの中にしか、人のぬくもりも成長も宿りません。
「結婚=自由を失う」と思う人ほど、自由の使い方をまだ知らないのかもしれません。孤独を守る自由よりも、誰かと笑い合う自由の方が、ずっと現実的でクリエイティブです。
恋愛や婚活に疲れたあなたへ──“結婚はコスパ悪い”という言葉の裏に隠れた、本当の自由の意味を一緒に考えてみませんか?
コスパ思考を超える“愛のROI”論。それが、この第4話のテーマです。
01|なぜ「結婚=自由がなくなる」と感じるのか
「結婚したら自由がなくなる」「今の気楽さを失いたくない」。──そんな声を、何度も聞いてきました。
特に20代・30代の男性たちから。仕事も趣味も自分のペースでできている。好きな時間に寝て、誰にも文句を言われない。確かに、今の暮らしには“自由”があるように見えます。
けれど、その自由の裏側には、誰にも頼れない孤独や、気づかないうちに蓄積する疲労がある。夜、部屋の明かりだけがついているとき、「このままでいいのか」とふと考える瞬間がありませんか?
社会心理学者のエーリッヒ・フロムは『自由からの逃走』で、人間は“自由に耐えられない生き物”だと言いました。孤独に耐えられず、でも他人に縛られるのも怖い。
──結婚を前に立ち止まるあなたの不安は、その矛盾のど真ん中にあります。
02|問題の地図:若者の“自由喪失恐怖”を分解する
選択過多と自己責任の重さ
現代の私たちは、あまりに多くの選択肢を持っています。仕事、住む場所、趣味、恋愛──どれも“自分で決められる”自由。でもその分、「失敗したら自分のせいだ」という自己責任のプレッシャーも大きくなる。だからこそ、誰かと人生を共有することにブレーキがかかるのです。なぜなら、共同決定は“責任の共有”でもあるから。
評価されることへの恐れ
「いい夫になれるだろうか」「彼女を幸せにできるのか」。男性ほど、無意識に“評価”を恐れています。自由を守りたいというより、「失敗して情けない自分を見せたくない」という自尊心の防衛です。
今の若い世代は、自分は結婚して本当に幸せになれるだろうか?という不安を、胸の奥で抱えています。愛されるよりも、愛せなくなることのほうを怖れているのかもしれません。
関係コストの誇張
「家事の分担が面倒」「義実家との付き合いが気まずい」。たしかに現実的な負担はあります。でも、リモコンの取り合いや夕飯の献立を相談する時間も、実は“人と生きるリハーサル”です。結婚の面倒くささの中には、人生のやわらかさが詰まっています。
03|フロム入門:freedom from / freedom to の二面性
フロムは、人間の自由には二種類あると説きました。
「何かからの自由(freedom from)」と「何かをする自由(freedom to)」。
現代の私たちは前者──束縛からの自由──に夢中です。
だけど、結婚がくれるのは後者の自由、“何かを創り出す自由”です。相手と共に世界をつくっていく創造の自由。孤独の自由より、誰かと笑えたり、泣いたりする自由の方がずっと手ごたえがある。
SNSの時代、私たちは「自分の幸せは自分で作る」と言いながら、孤独に疲れています。自由の旗を掲げているのに、その下で震えている。
──それが、現代の“自由の悲劇”です。
04|“コスパ思考”の罠:恋愛・結婚にROIを求めていませんか?
恋愛を“効率化”する人が増えています。マッチングアプリのプロフィール分析、既読スピードの最適化、デート費用の割り勘計算──まるで経営戦略です。
けれど、愛にROI(投資収益率)を求めた瞬間、恋愛は減価償却を始める。
愛は数字では測れません。
むしろ非効率で、時間がかかり、思いどおりにいかない。
けれどその不確実さの中でしか、人は本当に成長できないのです。
恋も結婚も、“効率よく幸せになるプロジェクト”ではなく、“非効率でも幸せを感じる練習”なのかもしれません。
05|逃走の三類型──服従・破壊・機械的一致の現代版
フロムは言いました。人は自由から逃げるとき、三つの道を選ぶと。
① 服従(submission)
「決めてほしい」「正解がほしい」。相手にすべてを委ね、自分で選ぶ自由を放棄してしまう。
② 破壊(destruction)
「どうせうまくいかない」と、始まる前に壊す。LINEを既読スルーしたり、相手を試すような言動を取ったり。傷つく前に壊して安心しようとする自己防衛です。
③ 機械的一致(automaton conformity)
周囲に合わせ、テンプレートのように恋愛を演じる。デートマニュアル通りの会話、当たり障りのない優しさ。自由に見えて、実は“同調圧力”に支配されています。
これらはすべて、“自由の不安”から逃げる防衛反応です。
でも、それは自由の維持ではなく、“心の鎧”です。
結婚とは、その鎧を少しずつ脱ぐ練習でもある。
06|反論と逆照射:結婚は自由を奪うのではなく成熟させる
多くの人が「結婚=自由の終わり」と感じるのは、まだ“未成熟な自由”の段階にいるからです。
孤独を守る自由、自分のライフスタイルのペースを崩さない自由──それは大切ですが、まだ「誰にも触れられない自由」にすぎません。
成熟した自由とは、他者の存在を含んだ自由です。自分の選択が相手の人生にも影響するという事実を受け止めること。
そこに、深い自己理解と新しい創造性が生まれるのです。
たとえば、家事分担や旅行計画、親族行事。たしかに摩擦や調整は避けられません。
しかし、それは自由が奪われたのではなく、“自由のフィールドが広がった”ということ。
相手と共にリズムを作ることは、他者と共鳴するための芸術行為に近い。
リモコンの取り合いさえも、“我”と“共”、”私”と”私たち”の境界を学ぶレッスンです。
結婚は、自由を失うことではなく、自由を再構築すること。
孤独を守る代わりに、信頼を選ぶ。そ
の勇気がある人だけが、自由を「持つ」人から「使える」人へと進化していきます。
07|実践パート:不安を扱う7日間プロトコル
Day1–2:自由の棚卸し
「手放したくない自由」「誰かとなら広がる自由」を書き出す。
Day3–4:ROI思考の停止ワーク
恋愛や結婚を“損得”で考えた瞬間を思い出し、その奥にある恐れを探る。
Day5:対話テンプレート
「期待していること」「怖いと思っていること」を素直に言葉にする練習を。
Day6:重なりを見つける
意見の違いをゼロにするのではなく、“ちょうどいい交差点”を探す。
Day7:小さな共同プロジェクト
一緒に料理する、散歩する──“関係の自由”を体で感じてみる。
08|まとめ:孤独の維持費と、共に生きる自由の収支決算
「結婚はコスパ悪い」と言う若い人は多い。
でも、本当にコスパが悪いのは“孤独の維持費”です。
孤独を守るには、感情の管理と完璧な自己制御が必要になる。
自由に見えるけれど、それは“自己責任という名の鎖”でもあるのです。
孤独の維持費は高い——なのに誰も領収書をくれない。
結婚は、自由を失うことではなく、“共に生きる自由”を得ること。
守るより、分かち合う方が、ずっと人生は豊かになります。
(婚活メンター・ひろ)
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【第1話】若者は何を恐れているのか?──「結婚はコスパが悪い」の心理
【第2話】結婚は“コスパ悪い”論に隠れた真実──孤独という見えない支出
第2回|自己肯定感を取り戻す小さな一歩──つい落ち込んでしまう癖が強い婚活あるある
シリーズを通して読むことで、蛙化の理解がより立体的に深まります。
- 第1回|蛙化とは何か?基本の理解
- 第2回|承認欲求と蛙化現象
- 第3回|婚活と蛙化現象──「良い人なのに好きになれない」の正体
- 第4回|蛙化克服のヒント
- 第5回|蛙化現象の男女差──それぞれの心に潜むトラップ
- 第6回|SNS時代の蛙化現象──「映える恋」と婚活のリアルな恋の落差
- 第7回|理想が壊れるとき、愛は本物になる──蛙化を超える成熟
- 第8回|蛙化と恋の幻想──記号が作る恋と幻滅の構造
- 第9回|蛙化の先にある”トゥルー・ラブ”二人でしかつくれない現実
第1回|「ありのままを愛される奇蹟」──成婚者の声に見る蛙化克服の物語
第2回|「父との葛藤を超えて」──成婚者の声に見る蛙化克服の物語
第3回|「ひとりで十分幸せ」からの逆転劇──かなえさんが婚活で見つけた“ふたりの幸せ”