ヒロの婚活心理学
「自由を失うのが怖い」──“結婚=コスパ悪い”の正体【第3話】
01|なぜ今、結婚で「自由を失う」ことがこんなにも怖いのか
「結婚はコスパ悪い」「結婚したら自由がなくなる」「自分のペースを奪われるのが怖い」。
そんな嘆きが、婚活の現場では新しい“口癖”になりつつあります。
けれど、よく考えてみると──結婚って、本当にそんなに不自由なものなのでしょうか?
SNSでは「自分らしく生きる」ことが称賛され、恋愛もキャリアも“自分軸”で選ぶ時代。
その結果、私たちは自由の達人になった。
けれど同時に、自由の使い方を少し忘れてしまったのかもしれません。
自由の光が強くなるほど、孤独の影も濃くなるのです。
本当に結婚は、あなたの自由を奪い、私たちは自由を失うのか?
それとも、まだ知らない“新しい自由”が、その先で待っているのか──。
02|結婚が「コスパ悪い」と言われる最大の理由:自由・可動性・自己選択の制約
「自由がなくなるから結婚はコスパ悪い」と言う人は少なくありません。
休日の予定を合わせたり、生活のリズムを共有したり、義実家との付き合いや親戚行事に顔を出したり──確かに、ひとりの時のような“気ままさ”は減るかもしれません。
けれど、それを「奪われる自由」と感じるか、「分かち合う自由」と感じるかで、意味はまったく変わります。
ひとりで好きなときにNetflixを観る自由もいいけれど、二人で観るときに起こる「どっちのリモコン持つ?」問題にも、実は温度があります。
旅行の計画を立てるとき、意見が食い違うのも、人生をすり合わせていくリハーサルです。
“自由の制約”に見えるものの中には、他者と生きることの現実が詰まっています。
相手と調整する時間は、同時に“関係を育てる時間”でもあるのです。
結婚の面倒くささの中に、人間らしい柔らかさが宿る。
──それが、結婚が「コスパ悪い」と言われながらも、やっぱり誰かと生きたいと思わせる理由なのかもしれません。
03|心理学で見る“自由”の正体──あなたの「自由」とは何からの自由か?
社会心理学者エーリッヒ・フロムは『自由からの逃走』で、人間が自由を手に入れた瞬間から、その自由に耐えきれず再び“隷属”を求めるという逆説を示しました。
つまり、私たちは自由を欲しがりながら、実は“孤立の不安”に震えているのです。
婚活の現場でも、同じ構造が見られます。
誰かと深く関わるということは、内面をさらけ出し、他者の期待や失望も引き受けること。
その緊張を「自由を奪われる」と誤解してしまうのです。
自由には二つの顔があります。
「何かからの自由(消極的自由)」と「何かをする自由(積極的自由)」。
前者は束縛から逃れる自由、後者は自らの意志で世界を創る自由。
結婚は確かに前者を一部制限しますが、代わりに後者──“誰かと共に生きる自由”を育てます。
結婚は、自由の終わりではなく、自由の“進化形”です。
自分の世界を閉じることではなく、他者という新しい宇宙を迎え入れること。
そこに、人間的成熟という自由が芽吹きます。
そしてこのフロムの洞察は、現代の若者が結婚を怖がる心理に重なります。
孤独には耐えられないけれど、関係に縛られるのも怖い──そんなジレンマの中で、私たちは“自由”の重さに疲れているのです。
SNSで「自分の幸せは自分で作る」と宣言するたび、誰にも頼れない孤独が深くなる。
自由を追い求めすぎる現代人の姿は、ちょっとした滑稽さを帯びてもいます。
だって、自由の旗を掲げながら、その下で寂しさに震えているのだから。
04|“コスパ思考”の落とし穴──恋愛・結婚にROIを求めていませんか?
現代の恋愛は、まるでビジネス会議のようです。
LINEの返信速度はKPI、デートの費用は投資額、相手のスペックは市場価値。
──気づけば“愛”の名のもとにROI(投資収益率)を求めてしまう。
どれだけ時間をかけたら、どれだけの愛情が返ってくるのか。
どれだけ努力したら、どれだけの「幸せ」が確約されるのか。
私たちは恋をエクセルで管理する時代を生きています。
けれど、愛にROIを当てはめるのは、花の香りを“コスパ”で測るようなもの。
恋は数字で管理できないからこそ、人を成長させ、心を動かすのです。
愛にROIを求めた瞬間、恋は減価償却を始めます。
結婚も同じです。
「この人といて得をするか、損をするか」と考えた瞬間、関係は“取引”に変わります。
確かに、経済的な現実は無視できません。
でも、人間関係は損得ではなく、“信頼”という無形資産の上にしか成り立たない。
愛のROIは、短期的にはマイナスかもしれない。
でも、長期的には人生を黒字にしてくれる投資です。
思い出してください。
恋がいちばん輝くのは、見返りを求めない瞬間──相手の笑顔を見ただけで、自分まで幸せになるときです。
コスパ思考は冷静さを与えてくれますが、温度を奪います。
愛は損得を超えて、誰かと共に“育てていく”プロジェクト。
そこにROIを計算する余地はないのです。
05|「自由」と「安心」はトレードオフではない──“信頼”がもたらす第三の自由
「自由」と「安心」は、対立するものだと思われがちです。
でも、本当に信頼できる関係では、自由はむしろ広がるのです。
たとえば結婚生活。休日の予定を相談して決める。
家事を分担してお互いの時間を守る。
小さな工夫の積み重ねが、二人の“自由”を支えています。
リモコンの譲り合い、洗濯物の干し方論争、どれも立派な愛の訓練です。
相手の存在は、あなたの行動を縛るものではなく、人生の土台になるのです。
心理学でいう“選択しなくていい自由”──それは、迷わず信じられる関係に宿る安心のこと。
毎朝の「いってらっしゃい」や、疲れた夜の一杯のコーヒー。
そんな些細な瞬間が、「ここにいていい」という確信を育てていきます。
誰かと生きることでしか得られない自由がある。
そのとき、人は「一人でいる強さ」ではなく、「誰かといても自分でいられる強さ」を取り戻していくのです。
06| 結論:コスパ悪いのは「愛」ではなく、“孤独の維持コスト”かもしれない
「結婚はコスパ悪い」と言う人の多くは、“愛のコスト”ばかりを見ています。
けれど本当に高いのは、“孤独の維持コスト”です。
孤独を保つには、完璧な自己管理、感情の抑制、そして終わりのない自己演出が必要になる。
誰にも頼らずに生きる自由は、軽やかそうに見えて、案外重たい。
夜中にふと心が沈んだとき、隣に誰もいない静けさ。
その静けさこそ、自由の代償かもしれません。
孤独の維持費は高い——なのに誰も領収書をくれない。
自由とは、“自分だけの選択肢”を守ることではなく、“誰かと共に選び続ける力”です。
相手と衝突しても、話し合って、また笑い合う。
そんな日々の中で、人は気づくのです──「自分のままで愛される自由」があることに。
「自由を失いたくない」と思っている人こそ、実は誰かと生きる中でこそ出会える“ほんとうの自由”を探しているのかもしれません。
エクササイズ:あなたの“自由の形”を見つめ直す3ステップ
ステップ1:あなたが手放したくない「自由」は何ですか?
書き出してみましょう。
仕事の自由、時間の自由、心の自由──どんな“自由”を守りたいのか。
その自由は本当に誰かに奪われるものなのか、それとも“自分の中の恐れ”が放せなくしているのか、丁寧に見つめてみて。
ステップ2:あなたが「支えられている」と感じた瞬間を思い出して
過去の恋愛、家族、友人との関係の中で、「自分が自由でいられた」と感じたのはどんなときでしたか?
理解された瞬間、頼られた瞬間、そのときあなたはきっと安心の中で自由を感じていたはず。
その“支えられる自由”を思い出すことが、未来のパートナーシップを描く第一歩になる。
ステップ3:理想の“共に生きる自由”を描いてみる
もしあなたが、信頼できるパートナーと生きるなら──どんな日常を望みますか?
一緒に料理をする時間、黙って並んで過ごす夜、意見を交わして成長する関係。
そんな“自由のある関係”を言葉にしてみましょう。
書くことで、あなたが本当に求めている愛の形が見えてくる。
(婚活メンター・ひろ)
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【第1話】若者は何を恐れているのか?──「結婚はコスパが悪い」の心理
【第2話】結婚は“コスパ悪い”論に隠れた真実──孤独という見えない支出
第2回|自己肯定感を取り戻す小さな一歩──つい落ち込んでしまう癖が強い婚活あるある
シリーズを通して読むことで、蛙化の理解がより立体的に深まります。
- 第1回|蛙化とは何か?基本の理解
- 第2回|承認欲求と蛙化現象
- 第3回|婚活と蛙化現象──「良い人なのに好きになれない」の正体
- 第4回|蛙化克服のヒント
- 第5回|蛙化現象の男女差──それぞれの心に潜むトラップ
- 第6回|SNS時代の蛙化現象──「映える恋」と婚活のリアルな恋の落差
- 第7回|理想が壊れるとき、愛は本物になる──蛙化を超える成熟
- 第8回|蛙化と恋の幻想──記号が作る恋と幻滅の構造
- 第9回|蛙化の先にある”トゥルー・ラブ”二人でしかつくれない現実
第1回|「ありのままを愛される奇蹟」──成婚者の声に見る蛙化克服の物語
第2回|「父との葛藤を超えて」──成婚者の声に見る蛙化克服の物語