ヒロの婚活心理学
夏帆症候群の娘と、親の影響で婚活が進まない悩み|「罪悪感のない親離れ」を
親と仲がいいのに、実家を出たらホッとしませんか?|夏帆症候群シリーズ第8弾
「まず、今日お伝えしたいこと」
親と仲が良く、大切に思っているからこそ、その期待を裏切ることに罪悪感を抱き、それが原因で結婚への一歩をためらってしまう女性がいます。
けれども、親を愛することと、親が安心する人生を選び続けることは別です。
本当の親離れとは、親への愛情を持ったまま、自分の意志で「この人と生きていく」と決め、新しい家族をつくることなのです。
Q. 夏帆症候群とは?
このシリーズでは、周囲との関係(特に家族)を壊さないよう上手に生き、自分の人生もきちんと築いてきた人が、結婚という「自分の人生を自分で選ぶ場面」で、自分が何を望んでいるのか分からなくなる状態を「夏帆症候群」と呼んでいます。(名称は村上春樹の小説『夏帆』の主人公から取りました。)
Q. 夏帆症候群の人は、婚活にどんな影響があるの?
今回お伝えしたいのは、「親離れしましょう」という単純な話ではありません。
気づけば、目の前の男性とつくるはずの結婚生活に、まだ起きてもいない親の心配まで入り込んでいる。
実家を出て一人暮らしを始めたとき、思っていた以上にホッとした。
でも、親と特に仲が悪かったわけではありません。
大切に育ててもらったと思っているし、実際、今でも母親とはよく話す。
何かあれば心配してくれるし、自分だって親には元気でいてほしい。
それなのに、自分の部屋へ帰ってドアを閉めた瞬間、身体のどこかがふっと緩んだ。
婚活中の30代女性と話していると、ときどき、そんな表現に出会います。
そして興味深いのは、その解放感のあとから、別の気持ちが追いかけてくることです。
こんなに実家を離れてホッとしている私は、親に冷たいのではないか。
母からLINEが来ているのに返信を後回しにしただけで、少し気になる。
週末に実家へ顔を出そうかと思っていたのにデートの予定が入ると、なぜか自分だけ楽しいことを優先しているような気がする。
一つひとつは、とても小さなことです。
けれども婚活が進み、結婚が現実のものとして近づいてくると、この小さな罪悪感が思いがけないところから顔を出すことがあります。
たとえば、
「この人と結婚したら、どこに住むんだろう」
「実家からもっと遠くなるかもしれない」
「親はどう思うかな」
「お母さんは彼を気にいるかな?」
夏帆症候群の難しさは、親の影響が強すぎて、親の言いなりになっていることではありません。
むしろ、自分で進学先を選び、仕事を選び、実家を出て、一人で生活できている女性にも起こります。
生活はとっくに自立している。
それでも、「自分が選んだ人生によって、親を少し寂しくさせること」には慣れていない。
私は、ここに大切な境目があると思っています。
親を愛したまま、親が望んだ人生とは違う人生を選べるか。
「私は結婚する」と決めた人にとって、本当の意味での親離れは、そこから始まるのかもしれません。
01|実家を出てから気づく、あの不思議な解放感の正体は?
実家にいた頃、ひどく束縛されていたわけではなかった。
門限もそれほど厳しくない。
恋愛に口を出された記憶もあまりないし、進学や就職だって最後は自分で決めてきた。
だから、自分はかなり自由に育ててもらったと思っている。
ところが一人暮らしを始めると、何でもないことが妙に嬉しいのです。
休日の昼近くまでパジャマでいてもいい。
冷蔵庫にほとんど何もない夜、適当に何かを買って帰っても、「ちゃんと食べなさい」と言う人はいない。
仕事で疲れ切った日は、玄関にバッグを置いたままソファに倒れ込んでもいい。
そこで初めて、「ああ、私は家にいるとき、思っていたより周囲を気にしていたんだな」と分かる。
これは、親が悪かったという話ではありません。
家族と暮らすとは、そもそもそういうことでもあります。
誰かの気配があり、誰かの生活時間があり、何となくお互いを気にしながら暮らしている。
ただ、親子の場合には、そこにもう一つ、長い時間をかけてできあがった関係があります。
「そんなに仕事ばかりして大丈夫?」
「その人、ちゃんとした人なの?」
「結婚するなら、やっぱり安定した人のほうが安心よ」
母親がそう言うとき、娘を支配しようとしているとは限りません。
本当に心配しているのでしょうし、娘のほうにもそれが分かっている。
だから厄介なのです。
理不尽なら反発できます。
でも、愛情から出た心配には、なかなか「放っておいて」と言えません。
やがて、母親が何も言わなくても、「これを選んだら心配するだろうな」と先に分かるようになります。
親の声を聞く前に、自分の中で親の反応を再生できてしまうのです。
そして婚活でも、ときどきその声が混ざります。
「私はこの人をどう思う?」と考えていたはずなのに、いつの間にか、「この人なら親も安心するかな」に変わっている。
この二つは、似ているようで違います。
結婚するのは、親を安心させるためではないからです。
夏帆症候群の方の婚活で、親の影響下にあるのか、自分の自由な選択なのかは、紙一重です。
もし小さくても罪悪感を感じるなら、共依存が優っていたのかもしれません。
02|親を大切にしてきた人ほど、離れるときに痛みがある
親子関係について書くと、すぐに「毒親」や「過干渉」という言葉で説明したくなることがあります。
でも、今回考えたいのは、そこではありません。
親を嫌いだったら、むしろ話はもう少し分かりやすいかもしれない。
距離を取りたい理由が自分でも分かるからです。
難しいのは、親が好きな場合です。
母親と話すのは嫌いではない。
実家へ帰ればホッとすることもあるし、親が歳を取ってきたことも気になる。
これまで自分のために使ってくれた時間やお金を思えば、できるだけ安心させてあげたいと思う。
そんな娘が自分の人生を選ぼうとすると、心の中に奇妙な計算が始まることがあります。
結婚して遠くへ住んだら、会える回数が減るかもしれない。
夫の家族との付き合いも始まれば、これまでのように自分の親だけを優先するわけにはいかない。
子どもが生まれれば、親は喜ぶだろうけれど、子育てについて母と意見が違う日だって来るでしょう。
つまり結婚によって変わるのは、名字や住所だけではありません。
長いあいだ「娘」であった自分の居場所も、少しずつ変わっていくのです。
だから、結婚が具体的になるほど気持ちが重くなる人の中には、男性そのものに迷っているだけではない人もいます。
新しい家族をつくるということは、これまでの家族との関係まで少し組み替えることになる。
その変化を、身体のどこかで怖がっているように感じます。
これは親不孝だからでも、自立できていないからでもないでしょう。
大切だった関係から、新しい関係へ重心を移していくときには、痛みがあって当然です。
ただ、夏帆症候群の方の婚活では、親の影響が少し目立つというお話です。
その痛みを「この男性とは違うのかもしれない」という婚活上の違和感と取り違えてしまうと、相手を替えても同じところで止まり続けます。
親子関係が相手選びや結婚への迷いにどう入り込むのかについては、リアルラブでも別の記事で詳しく扱っています。
⚪︎婚活がうまくいかない原因は母親?親子関係が結婚に与える影響と解決法
03|「お母さんは心配するだろうな」その先にある自分の選択
たとえば、仮交際中の男性について母親に話したとします。
「仕事は何している人?」
「どこに住んでるの?」
そんな話をしているうちに、母親が少し考えてから、「その人で大丈夫なの?」と言った。
その場では「まだ分からないよ」と笑って終わったのに、次のデートで彼に会うと、以前とは少し見え方が違っている。
これまで気にならなかった仕事の話が引っかかり、住んでいる場所も遠く感じる。
彼が何かを言うたびに、「やっぱりお母さんが心配したのも分かるな」と思い始める。
もちろん、親の意見が正しい場合だってあります。
長く生きてきた人の勘を、何でも無視すればいいわけではありません。
それでも、一度やってみてほしいことがあります。
母親の心配を聞いたあと、すぐに結論を出さず、まっさらな気持ちでもう一度、その男性に会ってみるのです。
そして今度は、「母ならどう思うか」ではなく、自分の身体をその場へ連れていく。
彼と話している私は、縮こまっているだろうか。
それとも、思ったことを案外そのまま話せているだろうか。
少し意見が違ったとき、この人は私の話を聞こうとしてくれるだろうか。
条件のリストだけでは分からないものが、そこにはあります。
そのうえで、「やっぱり違う」と思ったなら終わればいい。
でも、「私はもう少しこの人を知りたい」と思ったなら、その気持ちまで母親の不安に返さなくていいのです。
ここで初めて、自分の選択が少し泥臭くなります。
親も賛成してくれて、自分も迷わず、条件も申し分なく、何の摩擦もない選択なら楽でしょう。
けれども人生には、ときどき「誰にも保証してもらえないけれど、私はこっちへ行ってみたい」という瞬間があります。
結婚は、その最たるものではないでしょうか。
親離れとは、「もう親の意見なんて聞かない」と突っぱねることではありません。
親の意見を聞いても、それを材料の一つとして持ったまま、最後のところでは自分で選ぶ(責任を持つ)。
そして結果が思い通りにならなかったときにも、「お母さんの言うとおりにしておけばよかった」と親の影響へ返さず、自分の選択として引き受ける。
私は、そのあたりから本当の自立が始まるのだと思います。
04|親を好きなまま、一緒になる人と違う人生を生きていい
結婚をすると、親の娘ではなくなるのでしょうか。
もちろん、そんなことはありません。
何歳になっても娘は娘ですし、親が年を取れば、今度は自分が支える側になることもあるでしょう。
ただ、人生の中心は少し変わります。
これまでは何か大きなことがあれば、まず実家へ電話していた人が、結婚後は隣にいる夫に話すようになるかもしれない。
休日の予定も、年末年始の過ごし方も、これから住む街も、二人で相談して決めるようになる。
それは、親を捨てることではありません。
自分が新しい家族の当事者になる、ということです。
ここで私は、「親から自立しましょう」と簡単には言いたくありません。
人は、昨日まで大切だったものを切り捨てて大人になるわけではないからです。
母から受け取ったものの中には、これからも大切にしたいものがあるでしょう。
食卓の記憶や、困ったときに助け合う感覚、季節ごとの習慣まで、自分の家庭にも持っていきたいものがある。
一方で、「これは私たちには合わない」と思うものも出てきます。
そこを、夫になる人と選び直していく。
「うちではこうだった」から始まった話が、「じゃあ、私たちはどうしようか」に変わったとき、その人は初めて、自分が育った家庭とは別の家庭をつくり始めます。
リアルラブでは以前、「家庭はこうあるべき」という既成の形から離れて、二人に合ったパートナーシップをつくることについても書きました。
⚪︎婚活で迷うあなたへ|「家庭はこうあるべき」を手放すと結婚はうまくいく
夏帆症候群から抜け出すことも、きっとこれに近い。
親の影響や、親から受け取ったものを全部否定する必要はないし、親を悲しませない人生を完成させる必要もありません。
親を好きなまま、その人たちとは違う人生を生きていい。
そこまで来たとき、一人暮らしを始めた日に感じた「ああ、自由だ」という解放感とは、少し違う自由が見えてきます。
親がいない場所へ逃げたから自由なのではなく、親が何を思うかを知っていても、自分で選べる。
私はそれを、「罪悪感のない解放」と呼びたいと思います。
05|「親が安心する人」から、「私が一緒に生きる人」の選択へ
婚活では、「親も安心するような人と結婚したい」という言葉をよく聞きます。
その気持ちは、とてもよく分かります。
大切な親には喜んでもらいたいし、自分が選んだ人を好きになってもらえたら嬉しい。
結婚式の日に両親が安心した顔をしてくれたら、それはきっと幸せな光景でしょう。
でも、その先があります。
結婚式が終わった翌朝から、その人と暮らしていくのはあなたです。
疲れて帰った夜に同じ部屋にいて、生活費について相談し、どちらかが病気になれば支え、考え方が違えば話し合う。
何十年か先、親がもういなくなったあとにも、その人と人生を続けているかもしれません。
だから最後のところだけは、親に選んでもらうことができない。
そして、もしあなたが「いつか結婚できたらいい」と願っているのではなく、「私は結婚する」と本気で決めているのなら、ここから先の婚活では、「親が安心する人を探す」だけでは足りないと思います。
自分がその人を選び、その人にも選ばれ、二人で新しい家庭をつくっていく。
そこまでやって初めて、婚活は「親に心配をかけない人生」の延長ではなく、自分自身の人生になっていきます。
リアルラブでは、お見合い相手を紹介して、交際の結果だけを管理するような伴走はしません。
なぜ、いい人だと思えるのに、気持ちも体も動かないのか。
親に話した途端、それまでなかった迷いが生まれたのはなぜなのか。
真剣交際へ進み、結婚が現実になったとき、急に怖くなったのは相手への違和感なのか、それとも自分の人生を本当に選ぶ怖さなのか。
実際のお見合いや交際で起きていることを一緒に見ながら、必要なら立ち止まり、けれども「結婚する」と決めた人を、私たちはそこで一人にはしません。
親に大切にされてきた人生の続きを、今度はあなた自身が選ぶ番です。
もしも「私は結婚する」と決めているなら、リアルラブに入会して、私たちと一緒に婚活を始めませんか。
親が安心する結婚ではなく、あなた自身が「この人と生きていく」と決められる結婚まで、本気で伴走します。
過去25年間の平均成婚状況は?60.5%
一年間の成婚者数÷退会者数の25年間平均
(カウンセリングのみのコンサルティング会員を含む)
(性格研究歴27年の婚活カウンセラー&セラピスト)