ヒロの婚活心理学
盛り上げ上手なのに、なぜ関係が続かないの?──外向型の人のための婚活戦略 婚活心理学Vol.29
「盛り上げ上手なのに、なぜか関係が続かない──」そんな思い、ありませんか?
そんな疑問を抱えているあなたへ。初対面では会話も盛り上がり、印象も悪くない。
それでも関係が続かないのは、“外向型”ならではの思わぬ落とし穴があるからかもしれません。
本章では、明るく前向きな“外向的”な性格を持つ人が、婚活でぶつかりやすい壁と、その乗り超え方を具体的に解説します。
相手との関係を深めるために必要なのは、ちょっとした意識の変化。
あなたの良さが、ちゃんと届く婚活へ。“外向型”の強みを、上手に活かしていきましょう。
わたしって、外向型?──ちょっと立ち止まって確かめてみよう
「誰とでも話せるし、私って外向型だと思う」──でもそれ、本当に“外向型”の性格だからでしょうか?
本当のところ、外向型とは「社交的」とイコールではありません。
では、どんな特徴を持っていると「外向型」的な傾向が強いのでしょうか?
まずは、こんなふうに日常をふり返ってみてください。(直観で答える)
□ チェックリスト|あなたに当てはまるものはいくつ?
□ 一人でじっとしているより、人と一緒に何かをしているほうが元気になれる
□ 話しながら考えることが多い(沈黙より、言葉で整理するほうが得意)
□ 気になることは、つい口に出して話したくなる
□ 悩みごとも、まずは誰かに話して共有したくなる
□ 相手の反応が薄いと、つい自分ばかり話していたかも?と不安になる
□ 予定が埋まっていないと、なんとなくソワソワする
□ 人との“間”を気まずく感じて、つい話題をつなごうとしてしまう
□ 相手の話に思わず自分の経験を重ねて、話の主導権を握ってしまうことがある
□ 何かを始めるとき、「まず行動」派である
□ 感情は比較的表に出やすく、喜怒哀楽を共有しやすい
→ 6個以上当てはまったあなたは、外向型の性格傾向が強い可能性あり。
もう一歩、自分を探ってみよう
最近、静かな相手といて「なんだか物足りない」と感じたことは?
相手が話さない沈黙の時間、つい何か話題を探していませんか?
「盛り上げ役」になることが無意識のうちに習慣になっていませんか?
誰かの相談に「アドバイス」や「励まし」で返してしまっていませんか?
「楽しい関係」ばかりを求めて、「深い関係」を避けていないでしょうか?
💡この問いに“ドキッとした”なら──
あなたの中にある「外向型の強み」を、婚活の場でどう活かし、どうバランスをとっていくか。
この先の章で、じっくり考えていきましょう。
婚活心理学Lesson序章|“いい感じだったのに”の、その先へ
婚活心理学Lesson1|“盛り上げ上手”が、なぜか続かない理由
婚活心理学Lesson2|“熱意”が空回りしてしまう瞬間
婚活心理学Lesson3|“安心感”という名の呼吸
婚活心理学Lesson4|“気づかい”と“自己表現”の、すれ違い
婚活心理学Lesson5|“主導権”を手放すという知性
婚活心理学Lesson6|“深めること”が、ふたりを育てる
婚活心理学Lesson序章|“いい感じだったのに”の、その先へ
「初対面のお見合いの席で、会話が自然に弾んで……」
「初デートで楽しく盛り上がったはずなのに、連絡が減ってきて……」
──そんな言葉を、カウンセリングの現場で何度聞いてきただろうか。
明るくて、盛り上げ上手なあなたは、出会いの場で“好印象”を獲得するのが得意だ。気さくで話題も豊富、場を温める空気をつくることができる。
けれど不思議なことに、その第一印象の良さが、必ずしも“決定打”につながらない。
「楽しかった」「いい人だった」で終わってしまう。
「でも結婚相手としては…無理かも」で片付けられてしまう。
なぜか──。
外向的な人とひと口に言っても、その内面にはいくつかの異なるスタイルがある。
たとえば、誠実さと責任感で相手をリードしようとする人(誠実型)、 人を喜ばせようと頑張る優しさの人(献身型)、 自分の魅力を惜しみなく打ち出す人(達成型)、 自由さと楽しさで相手を巻き込む人(冒険型)、 力強さと率直さで惹きつける人(主導型)。
それぞれが違うかたちで“外向型”としてのエネルギーを持っている。
──けれど、共通する落とし穴がある。
それは、自分の情熱や関心が先行して、相手の反応やペースとの間に見えないギャップが生まれやすいこと。
誠実型は、真面目で信頼されやすいが、相手にとっては“優等生すぎる”印象になることがある。
献身型は、つい尽くしすぎて相手のペースを見落としがちだ。
達成型は、“自分をアピールする力”が強すぎて、相手の影が薄くなることがある。
冒険型は、“楽しい”を届けられるが、相手の気持ちの起伏に気づきにくいことがある。
主導型は、引っ張る力が魅力だが、“強引”と受け取られる危うさもある。
外向的な魅力が“初速型”であるがゆえに、交際に必要な「育てる」という視点が抜け落ちてしまうことも多い。
恋愛心理は、点と点が自然につながっていくもの──そう信じてきた人ほど、「関係は育てていくもの」という感覚に気づきにくい。
この章では、あなたの持つ強みを抑えることなく、結婚というゴールに向けて関係を深めていくヒントを探っていく。
空気を盛り上げるより、空気を共有すること。
牽引するより、そっと並んで歩くこと。
会話自体を楽しみ、一緒に笑うだけでなく、安心して沈黙できる関係を育てること。
あなたの魅力を削る必要はない。
ただ、その気持ちの伝え方、関係の深め方を少し変えるだけで、未来は確かに変わっていく。
婚活心理学Lesson1|“盛り上げ上手”が、なぜか関係が続かない理由
「初デートでの手応えはあったのに──なぜか3回、4回と、その後が続かない。」
婚活中の外向型の性格タイプに多いのがこの違和感だ。手応えがあった、という実感。それは決して錯覚ではない。
むしろ本物だ。
会話のテンポ、笑顔の応酬、相手の楽しげなリアクション……その場の“空気”を読む力は、あなたの大きな武器だ。
けれど──それだけでは関係は続かない。
真剣交際へ進めるかどうかの見極めの段階で、足踏みしてしまうケースが多い。
交際が進むにつれ、あなたの“外向的な本性”がしだいに姿を現してくる。
それは、悪いことではない。
だが、そこにあるのは、無意識のうちに主導権を握りたくなる衝動、自分の価値観やテンポを前提に関係を進めようとする熱意だ。
結果として、相手は「少し疲れる」「振り回されている気がする」「自分の居場所がない」と感じ始める。
たとえば──
几帳面で段取り力がある人は、予定や進行を管理する力がある反面、“きっちりしすぎて窮屈”と受け取られることがある。
デートの解散時間まで事前に決めようとする姿勢が、相手の自由を奪うように映ることもある。
思いやりがあって面倒見の良い人は、優しさの押し売りになりやすい。相手が望んでいない場面で差し入れやアドバイスを与え、「ありがたいけど、重いかも」と感じさせてしまう。
さらに、弱音を吐いた相手に対してすぐに助け舟を出すことで、「まだそこまでの関係じゃない」と距離を置かれてしまうことも。
行動力があり、自信をもって未来を描ける人は、「私はこんな未来を描いています。あなたはどうですか?」と問いかけすぎることで、相手が試されているように感じてしまう。
良かれと思って伝える自己実現の話が、“独りよがり”に映ることもある。
その場を盛り上げるのが得意な人は、気分に任せた提案や行き当たりばったりのデートが、相手にとっては「ついていけない」「自分のペースを尊重してくれない」と感じさせてしまうことがある。
軽妙なトークが“軽薄”と誤解されるリスクも。
率先して引っ張る力がある人は、「じゃあ、次はこうしよう」と一方的に決めすぎると、“圧”として伝わってしまう。
時に“指示”のように聞こえ、相手の自律性を脅かすこともある。
そして──どの傾向の人にも共通して見られる弱点がある。
それは、内面のネガティブな話題を避けがちなことだ。
相手の不安や葛藤に共感したり、自らの悩みを率直に語ったりするのが苦手な傾向がある。
第三者の話題に批判的な言葉を挟むことで、「この人、ちょっと冷たいかも」と感じさせてしまうこともある。
結果として、相手は「この人とは深い話ができなそう」「本当に私を理解しようとしているのか?」と疑問を抱きはじめる。
その違和感が積もると、「居心地が悪い」「一緒にいて疲れる」「この人と暮らしたら、自分のスペースが持てなさそう」といった理由で、交際終了につながる。
──つまり、初対面で光るその魅力は、関係を“始める力”ではあっても、“続ける力”とは別物だということ。
関係を深めていくには、「沈黙を許せる空気感」を育てることが鍵になる。
盛り上げようとする前に、相手の“呼吸”を感じ取ってみる。
あなたのテンポで話すのではなく、相手の反応や間合いに一瞬耳を傾ける。
人は、理解されたい存在であると同時に、放っておかれたい存在でもある。
相反するこの二つの欲求のあいだを、丁寧に行き来できる感性が問われている。
関係を続けるというのは、二人で一緒に“静かな川”を見つけていくようなもの。
あなたの“疾走”に相手を巻き込むのではなく、同じ歩幅で並んで歩く感覚──その視点があるだけで、関係の質は驚くほど変わってくる。
婚活心理学Lesson2|“熱意”が空回りしてしまう瞬間
「この人しかいない!」──そう思ったときほど、人は突っ走ってしまう。
外向型の人は、もともと“心が動く”ときのスピードが早い。
感情の高まりを素直に表現できるぶん、「もっと一緒にいたい」「次はこうしてみたい」と、どんどん気持ちが前のめりになっていく。
だが、その“前のめり”が、相手との距離を縮めるどころか、むしろ壁を生んでしまうことがある。
たとえば──
初回のデートで楽しい時間を過ごし、次回の予定をすぐに提案したとする。
「この前の話、すごく面白かったね。次は○○行ってみない?」
その提案がうれしい人もいる。
だが、人によっては「まだそこまで気持ちが盛り上がっていない」「少し急かされている気がする」と感じてしまう。
仮交際は、あくまで“観察期間”だ。
にもかかわらず、気持ちが走ると「期待の貯金」をしすぎてしまう。
「この人とうまくいきたい」「うまくいくはずだ」
──そう思えば思うほど、ちょっとした相手の反応や沈黙に、心が揺れる。
LINEの返信が遅れたとき、いつもよりテンションが低かったとき、「何か悪いこと言ったかな?」「気持ちが冷めたのかも?」と不安になり、
勢いで連絡を重ねたり、確認を急いでしまったりする。
すると、相手はこう思いはじめる。
「この人、なんだか気持ちの波が激しいな」
「まだ関係性が浅いのに、干渉が強い気がする」
外向型の人の“伝える力”は、婚活では確かに強みだ。
けれど、その強みは、常に相手の“受け取る余白”とセットで考える必要がある。
たとえば、ポジティブな言葉や未来の展望を語ったときに、相手が少し黙ったり、目線をそらしたりしたなら──
そこには「情報を処理するための時間」や、「本音を言っていいのか様子を見ている」サインが含まれていることがある。
このとき、外向型の人は沈黙を「不安のサイン」として捉えがちだ。
だが実際には、沈黙は“安全確認”の時間なのだ。
そのサインを無視して話し続けてしまうと、相手は「自分の気持ちを見てもらえていない」と感じるようになる。
──つまり、伝えること以上に、沈黙を“待てる力”が求められているのだ。
「熱意」は、婚活においてたしかに大切な資質だ。
だが、それは“関係性”という“温室”の中でこそ、ゆっくり育つべきもの。
自分の感情の速度ではなく、相手との呼吸のペースに合わせて、“ふたりの関係”を育てる。
そんな静かな視点が、婚活の“熱量”を、空回りではなく、信頼に変えていく。
婚活心理学Lesson3|“安心感”という名の呼吸
第一印象で「いいな」と思った。会話も盛り上がり、相手も笑ってくれた。
──なのに、数回のデートを重ねたあと、ふと訪れる“距離のズレ”。
その違和感は、言葉ではとらえきれない「空気の記憶」によって起きている。
人は無意識のうちに、目に見えない“呼吸のリズム”で相手との関係性を測っているからだ。
たとえば── ある男性。
丁寧で気配りも抜群。相手の好みに合わせてレストランを選び、エスコートも申し分ない。
けれど、なぜか女性から「いい人だけど……なんか違う(堅苦しい気がした)」と言われてしまう。
それは、あまりにも完璧な振る舞いが“安心”ではなく“緊張”を生むからだ。 相手は「失礼のないようにしなきゃ」と無意識に構え、「もっと笑わなきゃ」と自分を演出し始める。
気配りが“快”ではなく“負荷”になった瞬間、空気はすこしだけよそよそしくなる。
つまり、生真面目な”誠実さの過剰供給”が、かえって相手の“自然体”を奪ってしまうのだ。
その結果、相手は「私はこの人の前でどこまで力を抜いていいんだろう?」と自分に問いはじめる。
「気配り型」の人は、相手のニーズに即座に反応しようとする誠実さを持っている。
しかしそれが“過剰な同調”になってしまうと、相手に「合わせられている」感覚を与えてしまう。
一方で「自己主張型」の人は、自分の感情や考えを率直に表現することで、相手に安心を届けたいと願う。
だが、それが意見の押しつけに近づいてしまうと、相手にとっては「受け入れるか拒むか」の二択の緊張を強いることになる。
また、率先して空気を明るく盛り上げる「場づくり型」の人もいる。
沈黙を恐れず、むしろ自分が楽しめば相手も楽しくなるという信念を持っている。
しかしそのテンポの良さが、相手の呼吸を乱してしまうこともある。
外向的な人はそれぞれ、違ったかたちで「安心感」をつくろうとしている。
けれど、本当の安心感とは、「がんばらないで済む空間」である。
沈黙していても居心地がいい、予定がなくても「一緒にいるだけでいい」と感じられる。
──そんな「間」のある空気が、相手の呼吸をゆるめていく。
ところが、外向的な人はこの“間”を恐れてしまうことがある。
沈黙が続けば「何か話さなきゃ」と焦り、相手がぼんやりしていれば「退屈させてるかも」と不安になる。
けれど、その焦りや不安が、知らず知らずのうちに“緊張”として伝わってしまう。
──あなたが安心していなければ、相手も安心できない。
婚活の場では、とくに「ちゃんとしなきゃ」「好印象を残さなきゃ」と無意識の努力が積み重なる。
だが、関係は“頑張った先”にあるものではない。 “力が抜けた瞬間”にこそ、静かにはじまる。
「この人といると、自分でいられる」 ──その感覚を与えられる人こそが、関係を深めていける人だ。
そのためにはまず、あなた自身が「自分でいていい」と自分を許すこと。
安心は、相手に与えるものではなく、自分自身に許すものだ。
そして、ふとした拍子に二人の呼吸が重なったとき、そこには── まだ名前のない“親密さの芽”が、そっと芽を出しはじめている。
婚活心理学Lesson4|“気づかい”と“自己表現”の、すれ違い
「ちゃんと伝えたはずだったのに、どうしてこうなるんだろう」
「そんなふうに受け取られるなんて、思ってもみなかった──」
会話の裏に静かに沈む、すれ違い。
外向的な人ほど、言葉の橋を信じすぎてしまう。
言葉が自在な人ほど、「伝えた」という安心と、「伝わった」という錯覚の間で、ひとり舞台に立ってしまう。
気づかいと自己表現──どちらも「相手を大事にしたい」という思いから生まれている。
けれど、ときにその想いが、互いを傷つけてしまう。
一方が“空気を読む”ことで自分を抑え、他方が“想いを届けよう”と熱を帯びると、会話は「ゆがみ」を含みはじめる。
たとえば── 「昨日のあの店、ちょっと味が濃すぎたよね」 率直な感想だったが、相手は微かに表情を曇らせた。
「せっかく私が選んだのに……」
このとき、彼女のなかで摩擦が起きていたのは、味への批評ではない。
「私は、この人にとって心地よい選択肢でいられたか?」という問いの揺れだった。
やさしさは、触れ方を間違えれば、すぐに棘にもなる。
必要なのは、言葉の正しさではない。 その“余白”に、どれだけの「思いやり」が宿っていたか。
“伝えること”と“伝わること”のあいだには、いつも見えない橋がかかっている。
その橋を、丁寧に渡る感性こそが、親密さを育てていく。
逆に、相手に合わせすぎて、何も自分を表現できなくなることもある。
「いいですね」「私もそう思います」と繰り返すうち、相手は物足りなさを覚える。
──この人は、ほんとうは何を感じているんだろう?
必要なのは、強い自己主張ではない。 ただ、かすかでもいい、自分の輪郭を示すこと。
共感の中に、自分のことばを。沈黙の中に、自分の気配を。
外向的な人は、言葉を持っている。情熱も、信念も、体温も。
だからこそ、その言葉に「温度差」が生じやすい。 ほんの1℃の違いが、相手にとっては「ちょっと暑すぎる」や「少し冷たすぎる」になることもある。
──大事なのは、「熱さ」でも「正しさ」でもない。 あなたの言葉が、相手の呼吸にどれだけ寄り添っているか。
会話とは、勝ち負けでも交差点でもない。 ふたりが少しずつ“呼応”していく静かなプロセスだ。
どちらかが“自分の物語”を急ぎすぎれば、その空気は不協和音に満ちる。
だからこそ、伝えるよりも先に「受け取る」ことを。 話すよりも先に、「聴く」ことを。
──それは、自分の“情熱”を一度横に置く勇気でもある。
「私はこうしたい」ではなく、「あなたはどう思う?」と尋ねる姿勢である。
あなたの声が、誰かの呼吸に寄り添ったとき。
そこにようやく、ふたりの“ことばにならない関係”が芽吹きはじめる。
婚活心理学Lesson5|“主導権”を手放すという知性
デートの帰り道、ふと胸によぎる反省がある。
──「また自分ばかり話してしまったかもしれない」。
この気づきは、単なる会話量の偏りではない。
関係における主導権の所在に対する、外向的な人ならではの本能的な問い直しでもある。
たしかに、外向型の人には場の空気を読む力や、先を見越して行動する反射的なエネルギーがある。
それは魅力であり、頼もしさの源でもある。
だが一方で、相手の内的なテンポや言葉にならない感情を置き去りにしてしまう危うさを含んでいる。
たとえば、次の予定を先回りして提案する。相手の答えを待たずに判断を下す。
話題を転がすうちに、相手の本音をすくい損ねてしまう。
どれもが好意や思いやりから出た行動であっても、結果として“相手の心の領域”に入りきれないまま、関係の密度が薄まってしまうことがある。
関係とは、ふたりのテンポをすり合わせる行為だ。
外向的な人の「動かす力」が、知らず知らずのうちに主導権の固定化を生んでしまう──その自覚こそが、成熟の入口である。
沈黙が生まれそうな場面で、間を埋めようと話題を差し出す。迷いが見えた瞬間に、道を示す。
それは優しさであり、空気のドライバーのような働きだが、ときにその舵取りは、相手にとって“自由を奪う風”として作用する。
──「どこに行きたい?」と訊く前に、「ここ、予約しておいたよ」と伝えてしまう。
──「何を食べたい?」と聴く前に、「この店、オススメだよ」と差し出してしまう。
──「何を考えてる?」と寄り添う前に、「こういうときって、こうだよね」と断定してしまう。
それは、やさしい独裁かもしれない。
もちろん、相手を困らせたくない、楽しませたいという純粋な思いが根にある。
だが関係とは、“ふたりで動かす空気”である。
「主導権を持つこと」は決して悪ではない。
しかし、「主導権を手放すことができる人」には、別種の知性がある。
たとえば──
あえて選ばせる。あえて沈黙を待つ。あえて正論をしまい込む。
その「あえて」は、相手の内面や自由を信じることの表現であり、尊重の形なのだ。
メニューを見ながら「好きなものを頼んでいいよ」と静かに待つ。
予定を立てるとき「どこに行きたい?」と尋ね、ゆっくりと返事を待つ。
そんな些細な余白のなかに、相手は「自分を尊重されている」という実感を得る。
話し上手な人が、あえて黙る。リードが得意な人が、あえて委ねる。
──この“非対称性のリセット”が、関係に呼吸を与える。
主導権とは、交互に揺れ動く振り子のようなもの。どちらかが握りつづければ振り子は止まり、関係は硬直してしまう。
だが委ねたときに初めて、ふたりの間に新たな風景が立ち現れる。
──この人は、どんなテンポで世界を感じているのだろう?
──そのテンポに寄り添ったとき、どんな表情が見えるのだろう?
外向的な人は、“動かす力”に慣れ親しんできた。けれど、動かすことと、共に在ることは異なる。
関係を“動かす”より、関係の“間にとどまる”勇気を。答えを“出す”より、問いを“共有する”寛容さを。
──そうして初めて、ふたりの“場”は育ちはじめる。
次のデートで、静かに試してみてほしい。
「相手に任せる」「選ばせる」「黙って待つ」。
そのとき、思いがけない豊かな反応が訪れるかもしれない。
たとえば──
普段は自分から話す人が、相手の選択を待つ。
そのとき、相手は「この人の前では、自由でいられる」と感じはじめる。
“主導権”とは、力ではなく、信じるという静かな技術。
関係を築くとは、主導権を競うことではなく、そのあいだを静かに渡し合うことなのかもしれない。
互いに委ね合い、受け取り合うことで、ふたりのテンポが生まれる。
そのテンポこそが、ふたりの物語を進めていくのだ。
婚活心理学Lesson6|“深めること”が、ふたりを育てる
外向型の人は、会話や場の空気を温めることに長けている。
その明るさや前向きさは、初対面では「話しやすい」「安心できる」と感じさせる魅力の源だ。
だがその一方で、沈黙や感情の揺れ、不確かな空気を前にしたとき、無意識のうちに“間”を埋めようとしてしまう。
──それが、親密さの芽を摘むことがある。
たとえば、相手が言葉を探しているとき。
「こういうときって、こうだよね?」と代わりに言ってしまう。
あるいは、重たい話題に差し掛かりそうになると、軽い冗談や次の話題で切り替えてしまう。
それは、相手を気遣っての行動でもある。沈黙に気まずさを感じる人が、雰囲気を壊したくなくて反射的に話題を差し出す。
それ自体は責められるべきことではない。だがそこで問われるのは、“相手と共にその沈黙にとどまる力”ではないか。
自己主張が得意な人は、つい主導権を握ろうとする。
相手の気分に敏感な人は、空気を読んでしまい、肝心なことが言えなくなる。
正しさを大事にする人は、ついアドバイスを重ねてしまう。
楽しさを提供したい人は、話題を軽くしすぎてしまう。
実行力のある人は、結論を急ぎすぎてしまう。
──それぞれの得意さが、それぞれの弱さにもなりうる。
そして外向型の多くに共通するのは、「ネガティブな感情」に踏み込むことへの戸惑いだ。
落ち込んでいる相手を前にして、うまく言葉が見つからない。
「何て声をかければいいかわからない」「相手のペースを乱してしまいそうで怖い」
──そんな不安が、無意識のうちに距離をつくる。
だが、相手が本当に求めているのは「正解の言葉」ではなく、「一緒に悩んでくれる存在」かもしれない。
“わかろうとする努力”こそが、親密さの鍵になる。
関係を深めたいと願うなら、「楽しさ」だけでなく「痛み」や「弱さ」にも居場所を与える必要がある。
次の会話で、こんな風に試してみてほしい。
──相手が何かに迷っているとき、「どうしたらいいと思う?」ではなく、「どう感じてる?」と訊いてみる。
──相手が落ち込んでいるとき、明るく励ます前に、ただ静かに「そっか」と受け止める。
沈黙に耐えることは、相手の心に寄り添う力のひとつだ。
そしてその力は、経験と自覚によって育てていける。
関係を育てるとは、相手の内面を“深めること”に加担すること。
そのとき、ふたりの間に流れる空気が変わる。
──次に会ったときは、ただ黙って、相手の話を待ってみよう。
その一瞬から、新しい関係が始まるかもしれない。
(婚活メンター・ひろ)
外向的な性格傾向のあなたへ──“楽しいのに、なぜか関係が続かない”その婚活にこそ、答えがあります。
リアルラブの無料体験セッションでは、性格タイプに合わせた婚活戦略を、経験豊富なカウンセラーが丁寧にアドバイス。
「会話は盛り上がるのに、次がない」
「明るさを全面に出しても、心の距離が縮まらない」
そんな“外向型ならでは”の悩みに、私たちは何度も向き合ってきました。
あなたの長所を“深まる魅力”に変えるヒントが、ここにあります。
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