ヒロの婚活心理学
婚活心理学Vol.20 なぜあの人は成婚できて、私はできないのか?──婚活心理学で読み解く7つの違い
はじめに──成婚できた人・できなかった人、その違いはどこに?
今回は、「婚活心理学」という視点を軸に、「成婚できた人の特徴」や「成婚できない理由」を多角的に読み解いていきます。表面的なノウハウだけではなく、内面の心理と向き合うことで、成婚を可能にする真のパートナーシップに近づくヒントをお届けします。
婚活のゴールは明確だ。誰もが願うのは、心から安心できて信頼できる相手と、幸せな結婚生活を築くことだろう。
しかし、同じように努力しているのに、なぜ結果にはその後の人生を分ける、これほどの差が生まれるのか?
それは、目に見える条件や恋愛慣れの違いではなく、もっと深い“内面心理の習慣”にこそ原因がある。
自己理解の深さ、感情との向き合い方、直観や行動力、理想と現実の折り合いのつけ方──これらが、成婚の成否を分ける見えない分岐点となるのだ。
本論考では、カウンセラーとしての経験と、婚活心理学的な視点を通じて、成功した婚活者と挫折した婚活者の違いを、丁寧に解き明かしながら、あなた自身の婚活における“成長のヒント”を提示していこう。
婚活心理学Lesson1:自己理解が成婚の鍵を握る
自分の内面を“言語化”できる人は強い
本章では「成婚できる人の特徴」のひとつとして、自己理解の深さがいかに決定打となるかを、婚活心理学の視点から考察していきます。
成功する婚活者に共通するのは、自分の気持ちを正確に把握し、言葉で表現できる力を持っていることだ。
たとえば「私は寂しい」「私は安心したい」といった感情を隠さずに自覚し、それを自分にも相手にも穏やかに伝えられる人は、相手との関係を築くうえで非常に有利になる。
「自己理解」とは単なる自己分析に終わるものではない。それは、自分自身という複雑な内面世界を深く掘り下げ、正面から見つめる勇気である。
成功する婚活者は、自分がどのような愛情表現を求め、どのような価値観を重視し、またどんな不安や弱さを持っているかを冷静かつ丁寧に理解しようとする意欲がある。
条件の背後にある“本当の願い”を掘り起こす
少なくても自分自身と向き合う勇気と誠実さがある。彼らは、自分の欲求や恐れを隠したり否定したりせず、むしろそれを素直に認め、自分を丸ごと受け入れている。
その結果、相手に対しても過剰な期待を押し付けることなく、穏やかで自然なコミュニケーションを築くことができる。
その一方で、自分の内面──特にネガティブな──に正面から向き合うことを避ける人は、無意識のうちに理想や外面的な条件に強くこだわり、相手との本質的なつながりを阻害してしまう。
自己理解の欠如は、婚活で、表面的で満足感の薄い関係を繰り返す結果を生むことが多い。
つまり、本当に幸せな結婚を望むなら、婚活中から一度は、自分自身を深く掘り下げる意欲が何より必要なのだ。赤の他人との結婚生活はそれほど甘くはない。ロマンス期が過ぎれば否応なく、向き合わざるを得なくなる。
成婚できる人は「なぜその条件を望むのか?」が明確
例えば、Aさん(38歳女性)は婚活当初に「年収800万円以上、身長175cm以上、長男以外」という明確な条件を掲げていたが、マッチングしても関係が続かず、交際が実らなかった。
自己理解に焦点を当てたカウンセリングを経て、自分が本当に求めていたのは「経済的な安定感」ではなく、「心からの安心感」であり、「高収入」はその代替として設定された象徴だったことに気づいた。
以降、相手の内面や価値観を重視するようになり、8ヶ月後には心から信頼できる男性と出会い、成婚に至った。
もう一方のBさん(42歳女性)は、相手の収入や外見、年齢と若さに強いこだわりがあり、「条件に合う男性」との出会いにばかり執着していた。
相手と会話が弾まず、心が通い合わなくても「相性が悪かっただけ」と自分を納得させ、結局、交際が深まらずに終わるパターンを繰り返していた。
彼女は、自分の内面にある「年齢への劣等感」や「若さへの執着」の理由と向き合うことを避けたまま、出会いに執着し、疲弊していった。
自分が納得できる相手に出会えれば、すぐに結婚できる。そう頑なに信じて、今も「理想の結婚相手」を追い求めて続けている。
この対比から明らかなのは、「何を求めているのか」ではなく、「なぜそれを求めているのか」に向き合えるかどうかが、婚活成功の明暗を分けるということだ。
婚活心理学Lesson2:柔軟性がある人、ない人
婚活では“想定外”にどう対応するかが分かれ道
婚活の現場では予定通りに進むことの方が少ない。条件、感触、期待──それらが微妙にずれる瞬間、どう反応するかが問われる。
柔軟性のある人は「想定外」を否定せず、状況を見極めながら関係を育てていく。
婚活という舞台には、いつも予想外のドラマが待っている。成婚する人たちは、相手が見せる予期せぬ表情や突発的なトラブルを、自分が知らなかった世界への「新しい扉」として歓迎する。
もちろん初めからそうなれたわけではない。彼らは完璧を求めるのではなく、不完全さや予測不可能性を楽しむ心の余裕を培っていった。
相手の弱点や欠点に遭遇したとき、カウンセリングで培った「相手は鏡」、「これは自分が成長するチャンスだ」と前向きに捉え、その状況に柔軟に対処する術を知っているのだ。
不完全な現実を愛せるか?──受容力の差
一方、理想にこだわり過ぎ、「柔軟性」を欠く人は、相手や状況が思い通りにいかないとすぐに不安や焦りを感じ、自分が思い描いたシナリオに無理に当てはめようとしてしまう。
結果として、相手は息苦しさを感じ、関係は緊張や対立に陥ってしまうことが少なくない。
つまり、婚活の成功とは、自分の価値観や理想を手放す勇気を持ち、変化に対して柔軟に適応する能力を育むことで初めて可能になるのである。
たとえば、Cさん(36歳女性)は、仮交際中に相手男性が約束の時間に遅刻し、言い訳じみた弁明をしたことをきっかけに、「この人とは合わない」と即座に交際終了を申し出た。
しかし、その後の振り返りで、自分が「相手の不完全さを許せない」傾向があり、それが過去にも何度も交際のチャンスを潰していたことに気づいた。
Cさんはメンタリングを通じて、「完全でなくても、誠意があれば関係は育つ」という視点を得て、次の交際では相手のミスを責めるのではなく、背景や事情を丁寧に尋ねる姿勢に変えた。
その結果、相手との信頼が深まり、半年後に成婚を迎えた。
成功者に共通するのは「反応の選択肢」が多いこと
一方、Dさん(40歳男性)は、仮交際中に相手女性から「会話が噛み合わないね」と言われた際に、「自分を否定された」と強く反応し、自ら交際を打ち切った。彼は「自分が正しくあること」や「常に評価されること」に強いこだわりがあり、少しでも意見や価値観にズレがあると、それを受け入れる余地が持てなかった。
Dさんは複数の交際を同じパターンで終わらせてしまい、「どうせ誰とも合わない」と結婚自体に疑心暗鬼になり、婚活に疲弊してしまった。
このように、柔軟性の有無は、単なる性格の差ではなく、自分の感情との向き合い方、相手への信頼の置き方に深く関わっている。
自分の思い通りにならない出来事にどう反応するか──そこに、婚活の成否を分ける決定的な差が現れるのだ。
婚活心理学Lesson3:理想と現実をバランス良く調整できるか
「理想」は自分を映す鏡でもある
「成婚できない理由」の背景にある、理想と現実のギャップ。その心理構造を具体例とともに読み解いていきます。
理想像は単なる“願望”ではなく、自分がどうありたいか、何に価値を置いているかを映し出す鏡でもある。そこには幼少期の体験や親子関係、自尊心の反映も含まれている。
「理想」を持つこと自体は婚活において決して悪いことではない。むしろ明確な理想を持つことは、自分の価値観や方向性を示す大切な指標となる。
しかし、問題はその理想が現実と極端にかけ離れている場合に起こる。
成功する婚活者は、自分の理想と現実の間で巧みにバランスを取り、自分が本当に必要としているものと、妥協可能なものを冷静に見分ける力を備えていく。彼らは理想に固執せず、柔軟に理想を修正し、相手のありのままの姿を受け入れ、その中に新しい魅力を見出す。
理想を握りしめすぎると、現実を拒む癖がつく
一方、理想が高すぎたり、固定観念に縛られている人は、自分自身で設定した期待値に届かない現実に直面し、繰り返し失望を感じることになる。
この繰り返しが自己肯定感を低下させ、婚活そのものに疲労感を抱き、最終的には挫折につながってしまう。
成婚するためには、自分の理想を柔軟に見直す勇気と、現実を前向きに受け入れる心の余裕が必要不可欠なのだ。
婚活において「理想」は、自己肯定感と結びついた大切な希望でもある。
しかし、その理想が過去の傷や不安の反映である場合、それに固執することでチャンスを遠ざけてしまう。心理学では、理想像とはしばしば「防衛機制」の一種──自分を守るために作り上げた幻想的な基準だと言われる。
たとえば「高学歴で安定職の男性じゃないと無理」と語っていたEさん(34歳女性)は、実は過去に経済的に不安定な父親に家族が振り回された体験を引きずっていた。
彼女は理想像を手放すことに強い恐怖を抱えていたが、カウンセリングを通じて「安心感とは条件ではなく、人柄や関係性から生まれる」ことに気づいた。
以後、条件を広げて交際を重ねた末、現在の夫と出会い、彼の温厚な性格と信頼感に惹かれ結婚に至った。
本当に必要なものと“憧れ”を切り分ける力
一方、Fさん(39歳男性)は「30代前半で細身、料理上手な女性」といった具体的な理想を追い続けていたが、いずれの相手とも交際が続かず、あるがままの自分が受け入れられないことに違和感を感じ始めた。
彼はセッションの中でふと、「外見や社交的なやり取りではなく、自分らしく居られて、居心地がよいかが大事なのでは」と視点を変えたことで、落ち着いていて聡明な年上女性と出会い、これまでにない安心感を覚えたという。
理想は、自分を導く灯でもあり、ときに足かせにもなる。その理想を「なぜ持っているのか」と問い直し、現実に合ったものへと調整できたとき、はじめて本当の意味での成婚が見えてくる。
婚活心理学Lesson4:直観力──相性を感じ取る共感能力
感性が研ぎ澄まされた人は“違和感”に敏感
うまくいく人ほど、相手と過ごす時間の中で「心の波長が合うかどうか」に敏感だ。違和感は無視できても消せない。うまくいかない人は、感性よりも条件に従って自分をねじ曲げてしまう。
成功する婚活者は、相手との「相性」を直観的に、かつ繊細に読み取るだけでなく、育てることができている。単なるプロフィールの条件や数字に惑わされることなく、相手の微かな表情の変化や言葉のニュアンス、空気感といった非言語的なメッセージを逃さずにキャッチするようになる。
それを可能にしたのは、彼らの質問力だ。いくつもの失敗を経て、「どうかしましたか?」「疲れていませんか?」相手を気遣う問いが口を衝いて出るようになった。
相性は「言葉にならない情報」が決めている
その微妙な感覚の中から、自分と相手の間に本物の「つながり」の芽が育っているかを直観的に感じ取る。これは理屈や論理だけではなかなか説明できない、人間が本来持つ柔らかな共通感覚的な共感力である。
一方で、条件や表面的な聴覚情報(ことば)に過度に依存する人は、その深層的な感覚を見落とし、感情的な共鳴を無視してしまう。
その結果、真に相性を育めたはずの相手との出会いを逃してしまうことが多い。
つまり、本当に自分に合ったパートナーを見つけるためには、感情的な共感力を磨き、心の奥底で響き合うものを見極める力が不可欠となるのだ。
共感能力(共通感覚)は、単なる勘ではない。
それは経験と観察、そして感情への繊細な気づきから生まれる能力である。
日常のなかで相手の表情の揺らぎや、声のトーン、沈黙の質に意識を向ける練習を重ねることで、相手の内面にある本音や違和感を見逃さない力が育っていく。
たとえば、「この人とはテンポが合う」「無理に笑わなくていい感じがする」といった感覚は、共感作用が正常に働いている証拠だ。瞑想やジャーナリング(内省的な書き出し)も、自己感覚を鋭く保つ助けになる。
共感力は“技術”でもある──日常の観察と自己調整
実際、Gさん(45歳女性)は、年齢や学歴、職業など条件面では希望から外れていた男性との初対面で、「この人といると、呼吸がしやすくて、居心地が良い」と感じたという。
論理的に考えれば会う理由がなかった相手だったが、彼女はその感覚を信じて交際を続け、──親の反対を押し切って──半年後に成婚した。
「直観を信じてよかった」と語る彼女の表情に、迷いはなかった。
一方、Hさん(37歳男性)は「条件は完璧なのに、なぜかモヤモヤする」相手との交際を無理に続けたが、心が晴れることはなかった。最終的に別れを選び、「最初の違和感を無視したのが間違いだった」と後悔を口にした。
共感を伴った直観はときに、理屈よりも的確に「相性の不一致」を教えてくれる。
つまり、相性とは計算ではなく、感受性の質に宿る。自分の感性を信じ、それを日々の中で磨くこと──それこそが、真に響き合う相手との出会いを引き寄せる最大の鍵となるのだ。
婚活心理学Lesson5:行動力と決断力
決断を恐れる心理がチャンスを逃す
「もう少し考えたい」「タイミングを見てから」と言っている間に、関係は流れていく。成功する人は、完璧な準備よりも“今の感覚”に従って動いている。
婚活において迷いは最大の障壁となる。成婚を掴む人々は、状況を大らかに判断し、迷いなく行動を選び取る能力に長けている。彼・彼女らは一度決めたことに躊躇せず、自信をもって次のステップを踏み出す。
その「行動力」と決断力の根底には、自分の直感を信じる心理的な強さと、自分の選択が必ずしも完璧ではないと受け入れる柔軟な心がある。
逆に行動が遅く、決断を先送りにする人は、未知の結果や失敗を恐れるあまり、大切なチャンスを逃してしまう。こうした人々は、自分の内面にある恐れや不安に縛られ、その結果として時間が経つにつれて選択肢が減り、焦燥感や後悔を増やしてしまう傾向がある。
成婚への道筋を照らすのは、決断を恐れず行動を起こす勇気と、それを支える強固な自己信頼感(自己肯定感)なのである。
成功者はタイミングを逃さないのではなく、”結婚すると決めている”
たとえば、Iさん(43歳女性)は、人生初お見合いの相手と、仮交際中の2回目デートで「この人とは気が合いそう」と感じた瞬間に、迷わず自分から真剣交際の希望を伝えた。
それは一般的には“早すぎる”と感じられるタイミングだったが、彼女は「迷っているうちに失うほうが怖い」と直感を信じた。
その結果、相手の歳下男性も彼女の真剣な想いに心を動かされ、短期間で信頼と親密さが深まり、2ヶ月後にはプロポーズへと至った。
彼女が成婚報告会で語ったのは「勇気を出して自分から動いたから、今の幸せがある」という言葉だった。(その後、彼女は自然妊娠し、45歳で出産、母親になった。)
“一歩踏み出す力”の正体は自己信頼
一方、Jさん(47歳女性)は、良い感触を持っていた男性と交際中、なかなか真剣交際の約束に踏み出せず、「もう少し様子を見てから」と先送りを繰り返した。その間に男性は他の女性と距離を縮め、結果として交際は終了。
Jさんは「本当は前に進みたかったのに、自分から動くのが怖かった」と後悔を口にした。(彼は他の女性を選んだ理由を、「早く結婚したかったので」と相談所の担当に伝えたという。)
このように、婚活における行動力と決断力──正確にいうと、本当は自己信頼──は、タイミングとチャンスを逃さないために不可欠な力だ。
完璧な確信を待つのではなく、“今の自分がどうしたいのか(本当は何を欲しているのか)”という内なる声に耳を澄ませ、一歩を踏み出すこと。
それが、未来を大きく変える分岐点となる。
婚活心理学Lesson6:ストレスをどう扱うかが成婚を左右する
婚活疲れは「心の対話」が途切れたサイン
自分の気持ちに気づかないまま、良い人を演じようとし続けると心が擦り切れてしまう。婚活疲れの本質は“他者との関係”ではなく“自分との関係”にある。
婚活は心理的プレッシャーが非常に強い活動だ。その重圧は自己評価、相手からの評価、将来への不確実性など、さまざまな要素から来ている。
成功する婚活者は、こうした精神的「ストレス」を的確に理解し、自分自身の感情や体調の変化に敏感だ。
彼らはストレスを感じた時にすぐ対処できる具体的な解消法──趣味や運動、適切な休息、そして信頼できる人への相談──を持ち、健全さを保っている。
一方、ストレスを溜め込んでしまう人は、内面で膨らんでいく不安や焦りをうまく処理できず、感情のコントロールを失い、自分自身を追い込むような行動を取ってしまう。
例えば、過度な自己批判(自責)や悲観的な思考、または衝動的な行動によって、せっかくのチャンスを無意識に遠ざけてしまうのだ。
感情を“言語化”し、“誰かと共有”すること
つまり婚活においては、ストレスをただ我慢したり、逆に発散するのではなく、積極的に管理するスキル──正確に言うなら、オープンハート(心を打ち明ける)──が成婚を大きく左右することになる。
婚活の過程で高まるストレスを効果的に扱うためには、日々の中で実践できるマネジメント技術を身につけることが重要だ。
まず基本となるのは、「ストレスを感じたときに、まず自分の状態を言語化する習慣と相手」である。
たとえば「今、焦っている」「孤独を感じている」「早く結果を出したい気持ちが強くなっている」といった具合に、自分の感情に名前をつけ、誰かにシェアするだけで、脳は落ち着きを取り戻しやすくなる。
次におすすめなのが、「10分瞑想」や「マインドフルネス呼吸法」。1日10分でも、呼吸に意識を集中するだけで自律神経が整い、過剰な不安や自己批判のループから抜けやすくなる。
ストレスマネジメントは、自分への“思いやり”から
また、ストレスの根源となる「比較思考」や「完璧主義」に気づいた際には、「自分が自分に何を求めすぎているか?」という視点で内省し、セルフ・コン
パッション(自己への思いやり)の習慣を育てていくと、心の回復力が格段に高まる。
実際に、Kさん(36歳女性)は仮交際の中で「また今回もダメかもしれない」と不安が強まった際、メンタリングで教わった「3つの今できること」を紙に書き出し、1つずつ着実に行動することで、不安に飲み込まれることなく前向きな選択ができたという。
ストレスとは敵ではなく、正しく扱えば「行動を見直すサイン」でもある。婚活におけるストレスマネジメントとは、心の声に耳を澄ませ、やさしく丁寧に応答する自己対話の力なのだ(サイエンス・ヘルプで知られる健康心理学者=ケリー・マクゴニガルの一連の著作が参考になる。)
婚活心理学Lesson7:専門的サポートを活用できる心理
頼る力は“弱さ”ではなく“成熟”の証
誰かに頼ることが「依存」と感じる人は多い。しかし、本当の成熟とは「必要なときに助けを求められる強さ」でもある。自力に固執するほど、関係性は単独戦になってしまう。
成婚できる人は、「助け」を受け入れることをためらわず、それを成長のきっかけとして積極的に活用できた人だ。
彼らは専門家や周囲の助言を単なる批判ではなく、自分を客観視するための貴重な視点と理解し、自分の行動や思考パターンを柔軟に変化させていく。
その結果、自分では気づかなかった課題や障害を明確に認識し、それらを効率的に乗り越えることができるのだ。
対して、秘密主義で、恐れが強く、自己解決に固執する人は、外からの意見を受け入れることを弱さや失敗、干渉と捉えてしまい、自分一人で問題を抱え込む傾向がある。
このような心理的壁が、結局は同じパターンの問題に何度も直面する原因となり、婚活の長期化や停滞を招くのである。
つまり、成功への鍵は、自立しながらも謙虚に外部の支援を受け入れる──オープン・ハートの──「賢明な頼り方」を身につけることにある。
他者との協働関係が、自分を成長させる
たとえば、Lさん(37歳女性)は、アプリ婚活中に出会う相手との関係が続かず、うまく深まらず、「自分に何か欠けているのでは」と思い悩んでいた。
彼女は結婚相談所に登録して専門家に相談することを決めたが、最初は「何でも打ち明けるのは良くない」「自分でなんとかすべき」というプライドが邪魔をして、素直にアドバイスを受け入れられなかった。
しかし、少しずつ対話を重ねるうちに、カウンセラーとの関係は単なる指示や助言のやりとりではなく、自己理解を深めるための“対話練習の場”だと気づいた。
彼女はその後、自己表現の仕方や、本音の伝え方、相手との距離感の取り方を少しずつ修正し、約1年半で相思相愛の相手と出会い、成婚に至った。
一方、Mさん(38歳男性)は、長年にわたり「自己流」で婚活をしていたが、成果が出ないまま焦燥感だけが募って、複数の結婚相談所を渡り歩いた。
自分のスタイルを変えることなく、お見合いはできるものの、交際に結びつかず、その原因をカウンセラーのせいにして、数年間を無駄に過ごしていた。
ようやく私どもの相談所に登録した際も、「ネガティブな心理サポートは要らない」「励ましてくれるだけで良い」とスタッフとの本音ベースでの関係をシャットアウトし、たまに交際に進んでも表面的なやりとりしかできなかった。
結局、断られたり、断ったりの同じパターンを繰り返して交際終了となり、「自分は結婚に向いていないのかもしれない」「昇進試験に挑戦したいので」と退会した。
「自分は頭が良すぎるので、女性がついて来られない」と言い放った捨て台詞を残して。
成功者は「対話の質」でサポートを使いこなす
この対比から見えてくるのは、「専門家を使う」ことの本質は、何かを“任せる”ことではなく、より深い自己対話と相互理解の“触媒”として共に考える姿勢を持つことだという点だ。
誰とでも協力的な関係を築ける人は、自己変容のプロセスにおいて、他者の視点を取り入れる柔軟性を持ち合わせている。婚活における真のサポートとは、自立を妨げるものではなく、それを後押しする「共創の場」なのだ。
婚活心理学Lesson:結び──成婚への心理的決定打
自己理解、柔軟性、理想の調整力、直観力(共感力)、行動力、ストレスマネジメント、専門的サポートの受容性──これらは単なる「性格の傾向」ではない。それぞれが、現実に直面したときの反応の仕方であり、結婚という人生の共同作業を乗り越えていくための心理的筋力である。
そして、もう一つ見逃せない視点がある。
それは、「自分がどんな結婚生活を手に入れたいのか?どんな感動や体験を分かち合い、日々の暮らしの中で味わいたいのか?」という未来のビジョンをどれだけ明確に持てているか、ということだ。
そのビジョンは、単なる理想の羅列ではない。自分にとっての幸福とは何か、自分の人生にとって結婚がどんな意味と価値を持つのかを、深く真摯に問うプロセスである。そして、そのビジョンが明確であるほど、必要とするパートナー像もはっきりしてくる。
だからこそ、成婚が早い人ほど結婚後の情景を具体的に描けている。
もちろん、理想と現実のバランスは不可欠だ。しかし、現実を受け入れる柔軟さと、自分の人生にとって譲れない核を知っていることは両立する。
婚活とは、単なる相手探しではない。自分の人生に何を望み、その実現に誰と歩みたいかを明らかにする営みなのだ。これらの資質を意識的に磨き、未来の自分像に輪郭を与えていくことで、他者との出会いはより深く、より意味のある対話へと変わっていく。
そしてその先にこそ、真に成熟したパートナーシップへの扉が静かに、しかし確かに開かれていくのだ。
(婚活メンター・ひろ)
新たな自分を見つけるために
婚活の壁にぶつかったとき、その理由は「方法」の問題ではなく、「見え方」の問題かもしれません。
そんなときこそ、専門家のメンタリングが力を発揮します。
第三者の視点を通じて、自分でも気づいていなかった思考の癖や感情のパターンが浮かび上がり、新しい可能性が開かれることは珍しくありません。
誰かの力を借りることは、あなたがダメなのではなく、よりよい人生を選び取るための賢明な選択です。
まずは私たちの体験セッションで、その“変化の種”を体感してみてください。