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婚活心理学
“わたし”のなかの小さな子と、“あなた”のなかの古傷──インナーチャイルドの活かし方 婚活心理学Vol.16
はじめに:「インナーチャイルドという鏡に、あなたは何を見るか?」
婚活がうまくいかない──そう感じている方の多くが、「条件は悪くないのに続かない」「いい人なんだけど、心が動かない」「自分でもよくわからないけど不安になる」といった“言語化できない違和感”を抱えています。
そんなとき、"インナーチャイルド"というレンズを通すと、今まで見えなかった“もうひとりの自分”が姿を現すことがあります。
それは、大人のあなたではなく、過去に置き去りにされた“小さな自分”。
そしてその小さな自分は、あなたの“自己肯定感”や“自己価値”の土台にも関係しています。
自己肯定感、つまり自分を肯定できないのは、誰かが否定したからではなく、かつてのあなたが「大切にされなかった」と感じたまま取り残されているからかもしれません。
インナーチャイルドという視点を婚活に導入することで、自分の中に潜む反応の正体や、なぜ同じパターンを繰り返してしまうのかという謎が、少しずつ解けていくのです。
本記事では、婚活カウンセリングの現場から、インナーチャイルドがどのように“出会いの場”に顔を出すのか、そしてそれにどう向き合えば、より深く、本物の親密な関係に近づけるのかを実践的に掘り下げていきます。
セルフチェックリスト:「わたしの中の小さな子」は今、何を感じている?
以下の質問に直感でお答えください。
相手からLINEの返信が来ないとき、まず何を感じますか?
A)忙しいのかなと思う
B)嫌われたかも、と不安になる
C)イライラして距離を置きたくなる
お見合いで相手が自分に興味を示すと、どんな気持ちになりますか?
A)嬉しいし、もっと話したくなる
B)どこか冷めた気持ちになる
C)なぜ好かれるのか不安になる
自分にとって「結婚する価値がある自分」とは?
A)優しく思いやりがある人
B)仕事や家庭をしっかり両立できる人
C)相手に尽くせる人
→ BやCが多い方は、無意識のうちに「条件を満たせないと愛されない」と思い込んでいる可能性があります。
それは、自己価値が“条件付き”になっている証かもしれません。
【目次&内容】
第1章:インナーチャイルドとは何か?──「過去の私」が、婚活での選択を支配している
第2章:お見合い婚活の場に現れる「子どもたち」の風景
第3章:婚活相手にも「小さな子ども」がいる──共鳴と衝突のドラマ
第4章:インナーチャイルドとの対話が、婚活で「本物の出会い」を可能にする
第5章:お見合い婚活に活かす実践法──インナーチャイルド・エクササイズ
終章:「ふたりで子どもになれる関係」こそ、結婚の核心である
第1章:インナーチャイルドとは何か?──「過去の私」が、婚活での選択を支配している
インナーチャイルドとは、子ども時代の体験から形成された“感情の記憶”です。
たとえば──
- 誰にも気持ちをわかってもらえなかった
- 一生懸命頑張っても、認められなかった
- 怒りを表現すると嫌われた
- 寂しさや悲しみを我慢するのが当たり前だった
こうした体験が蓄積されると、「どうせ理解されない」「私は価値がない」「感情を出すと嫌われる」といった“無意識の信念”として、大人になった今も行動の背景で働き続けます。
これこそが、自己肯定感の根っこを揺さぶる大きな要因です。
婚活においては、
- 自分を出すことが怖い
- 相手のちょっとした表情に過剰反応する
- 「選ばれなければ意味がない」と思い詰める
──といった形で現れるのです。
表面では“大人の顔”をしていても、内側では「置いていかれた小さな自分」が、泣いたり、怒ったり、すねたりしている。
これが、婚活の場面で、自己価値に疑いをかける“声”であり、インナーチャイルドの存在です。
スキーマ療法の視点から見る「小さな自分」:
この「小さな自分」の構造を、心理療法の観点から捉えるならば、スキーマ療法の「早期不適応スキーマ」という考え方が非常に有効です。
これは、幼少期の不安定な養育環境や慢性的な感情の欠如によって形成された、根深い信念や思い込みのこと。
インナーチャイルドの“感情の記憶”と本質的に重なります。
スキーマ(schemas)とは、過去の体験から自動的に形成される“心の前提”や“信念の型”のことを指します。
たとえば、子ども時代に「がんばっても愛されなかった」という経験を繰り返した人は、「私は頑張らなければ価値がない」という無意識の思い込み(スキーマ)を形成します。
このスキーマは、その人の思考・感情・行動に影響し、大人になってからの恋愛や婚活の場面でも、自分でも気づかないうちに「愛されない役割」を選び取ってしまう原因になります。
では、こうしたスキーマが具体的にどのように作用するのか、スキーマ療法の観点からさらに見ていきましょう。
たとえば、婚活の現場で見られやすいスキーマには以下のようなものがあります:
- 見捨てられスキーマ:「どうせ私は最後には見捨てられる」
- 欠陥・恥スキーマ:「自分にはどこか欠陥がある」「ありのままでは愛されない」
- 失敗スキーマ:「私は他人より劣っていて、成功できない」
これらのスキーマが強く働いていると、どんなに好条件な出会いでも、自ら破壊的なパターンを選んでしまったり、相手の反応を“拒絶された”と過剰に受け取ってしまうのです。
婚活で活かしたい自己効力感と“愛される感覚”:
さらにもう一つ重要なのが、自己効力感(Self-Efficacy)という概念です。
心理学者アルバート・バンデューラが提唱した「自己効力感(Self-Efficacy)」は、「自分にはそれを達成する力がある」と信じる感覚です。
この自己効力感が高い人は、困難な状況にも柔軟に対処し、自ら関係性を育てようとする行動を選べます。
一方、自己効力感が低い人は、「どうせうまくいかない」「自分には愛される資格がない」といった予期に縛られ、関係を始める前にあきらめたり、試すことすら避けてしまう傾向があります。
ここで、自己効力感としばしば混同されやすいのが「自己肯定感」です。
自己肯定感とは、(特別なにかをしなくても)“自分には価値がある”と感じられる感覚そのものです。
つまり「自分が存在していてよい」という根源的な信頼のこと。
対して、自己効力感は、
「私はそれをやれる」「うまく対処できる」という“行動に対する自信”であり、より具体的で可動的な要素を指します。
どちらか一方が高くても、もう一方が低い場合もあります。
たとえば、自己肯定感が低くても、経験によって自己効力感をある程度高めてきた人もいますし、逆に自己肯定感は高くても、失敗体験の積み重ねによって自己効力感が下がっている人もいます。
婚活ではこの両者が密接に絡み合います。
だからこそ、「自分を肯定すること」と「行動してみること」の両輪を意識的に育てていくことが、真の意味での“愛され力”につながるのです。
婚活においてもこの違いは顕著です。
- 自己効力感が高い人は、多少の不一致や沈黙を「調整可能な違い」として受け止めます。
- 自己効力感が低い人は、相手のちょっとした態度の変化を「やっぱりダメだった」と自責や撤退につなげがちです。
インナーチャイルドの傷が深いと、自己効力感は自然と損なわれがちです。
しかし、それは固定された性質ではなく、「経験」や「他者との出会い」によって回復しうるものでもあります。
✅ 自己肯定感=「自分には価値がある」と感じる根源的な自己信頼
✅ 自己効力感=「私はやれる」と思える行動への自信
🔄 両者は相互に影響しながらも異なるものであり、両輪で育てていく必要がある
第2章:お見合い婚活の場に現れる「子どもたち」の風景
婚活の現場では、こんな声をよく耳にします。
- 「この人、条件は悪くないんだけど、なんか引っかかるんです」
- 「話は弾んだけど、帰り道にすごく疲れた気がして…」
- 「優しくされると、逆に身構えてしまう自分がいます」
これらの“なんとなくの違和感”や“謎の反応”は、多くの場合、論理ではなく感情の層──とくにインナーチャイルドの層──が動いているサインです。
つまり、大人の理性では納得しているのに、内なる「小さな子ども」がどこかで警戒している。
そのとき、私たちは意識せずして「過去のスキーマ」によって現在の出会いを歪めてしまっている可能性があります。
「無意識の“防衛パターン”としての子どもたち」
以下のような反応は、お見合いや仮交際で非常に多く見られます:
- 完璧主義の子ども:小さな欠点に過剰反応し、相手を「減点」してしまう
- 傷つきやすい子ども:好意を示されると「信じていいの?」と疑い、引いてしまう
- 報われなかった子ども:「また自分ばかり頑張るんじゃないか」と不公平感を覚える
- 無視された子ども:LINEの返信が遅れただけで「嫌われた」と受け取ってしまう
いずれも、「今この瞬間」に起きていることではなく、過去の記憶が“現在の相手”に投影されている反応です。
たとえば、「どうせ私はまた見捨てられる」と感じてしまう背景には、幼少期に形成された見捨てられスキーマがあるかもしれません。
これは、スキーマ療法でいう「早期不適応スキーマ」の一つで、「拒絶・放棄された経験」から染み込んだ信念です。
「婚活をこじらせる“試される前に、試す”という反転構造」
さらに厄介なのは、インナーチャイルドが主導権を握ると、人は「拒絶される前に、自ら拒絶しにいく」という行動をとりやすくなる点です。
- 優しくされると、「これは何か裏がある」と試してしまう
- 相手が沈黙しただけで、「本当は興味ないんでしょ」と投げてしまう
- 少し距離を取られると、「やっぱり自分なんか…」と自己否定に入る
こうした反応の根には、自己効力感の低さがあります。
「私はこの状況をうまく対処できる」「関係を育てていける」と感じられないために、未然に関係を壊そうとするのです。
「反応と対話の境界線を引くことから」
では、どうすればこの“子どもの反応”に飲み込まれずに済むのでしょうか?
大切なのは、以下の問いかけを自分に向けることです:
- 「これは本当に“目の前の相手”に対する反応だろうか?」
- 「このモヤモヤは、何歳くらいの私が感じているんだろう?」
- 「相手を“拒否”しているのではなく、自分の中の“恐れ”を守っているのではないか?」
このように、感情と出来事の間に”問い(自己省察)”というスペースを挟むことができるとき、反応ではなく対話が始まります。
大人同士の会話のなかに、子ど「もたちの沈黙がいる」
お見合いや仮交際の場で交わされる「何気ない会話」──その裏では、実は互いのインナーチャイルド同士が、慎重に相手を見つめていることがあります。
- 「この人は、本当に怒ってこないだろうか」
- 「この人に、自分の弱さを見せても大丈夫だろうか」
- 「この人と一緒にいて、昔の“あの感じ”を思い出さずにいられるだろうか」
大人の言葉の奥にある“沈黙”に耳を澄ませること。
それこそが、自己理解と他者理解をつなぐ信頼の鍵なのです。
第3章:婚活相手にも「小さな子ども」がいる──共鳴と衝突のドラマ
婚活がうまくいかない理由を考えるとき、私たちはつい「自分の内面」にばかり意識を集中しがちです。
けれど、忘れてはならないのは──あなたと同じように、相手のなかにも“小さな子ども”がいるということです。
たとえば、あなたのインナーチャイルドが「見捨てられるのが怖い子」だったとしましょう。
その場合、相手が距離をとってくるように見える行動は、単なる「興味がない」サインではなく、相手の中の「傷つきたくない子」が恐れ(投影)から距離をとっている可能性もあるのです。
- 「あの人、なんだか壁を作っている」
- 「本音が見えなくて、信じられない」
そんなふうに感じたとき──それは、相手の小さな子どもが、あなたに対してまだ“安心”を感じていない状態なのかもしれません。
婚活では、インナーチャイルド同士の“静かな共鳴”は起きている
恋愛や婚活において、言葉や態度の表面ではなく、「無意識と無意識のあいだの対話」が起こっていることは少なくありません。
- あなたが「不安」を隠して笑顔を作ったとき、相手の中の“敏感な子ども”は、その「張りつめた空気」を察知します。
- 相手が「大人の正論」を並べてくるとき、それは自分の弱さを見せたくない“子どもなりの防衛”であることもあります。
これは、感情のレベルでの“共鳴”であり、同時にすれ違いの根っこともなります。
自己肯定感が低い婚活者同士の「過剰防衛」と「過剰解釈」
特に、自己肯定感が低い者同士の出会いでは、以下のような“すれ違いパターン”がよく見られます:
- 相手の小さな沈黙を、「否定された」と受け取ってしまう
- 自分の感情を見せる前に、「どうせ通じない」とあきらめてしまう
- ささいな言葉のニュアンスで、深く傷ついてしまう
- 無意識に相手を“試す”ような行動をとってしまう
こうしたすれ違いは、いずれも「自分を守るための行動」ではあるものの、結果的に関係を遠ざけてしまう選択(回避性行動)になりやすいのです。
お見合い婚活では、“不完全であること”を前提に、信頼を築くということ
だからこそ、私たちに求められるのは、次のような前提を関係の出発点に据えることです:
- 「この人にも、“不完全なままで愛されたい”という願いがあるのかもしれない」
- 「この人もまた、“愛することに慣れていない誰か”なのかもしれない」
その理解があるだけで、相手の言葉や態度に対して「反応」ではなく「応答」することができるようになります。
言い換えれば──
関係性とは、“大人同士の交渉”であると同時に、“子ども同士の癒し”の場でもあるのです。
第4章:インナーチャイルドとの対話が、婚活で「本物の出会い」を可能にする
では、どうすればその“内なる子ども”を癒すことができるのでしょうか。
答えはシンプルです。
まずは、気づくこと。
人との関係がうまくいかないと感じたとき、自分が「また同じ失敗を繰り返している」と落ち込んだとき、私たちはつい、「外側」に原因を探したくなります。
けれど、本当の癒しと変化は、“内側”への問いかけから始まります。
なぜなら、現在の選択や反応の多くは、あなたの中の“未完了な小さな誰か”が発している声だからです。
婚活での癒しの第一歩は、「気づくこと」:
たとえば──
相手の一言に、なぜか強くイラッとしたとき。
既読スルーに、過剰に落ち込んでしまったとき。
そんな瞬間に、そっと自分に問いかけてみてください:
- 「いま反応しているのは、大人の私? それとも、あの頃の私?」
- 「これは、私の“いま”の感情? それとも“昔”の傷が疼いているの?」
この問いは、反射的な感情の波から、一歩引いて眺めるための“アンカー”になります。
ただの「イラつき」や「不安」に見えたものが、実は「置き去りにされた感情の叫び」だったことに気づけるかもしれません。
そして、この”気づき”こそが、自己愛を回復させる第一歩**になるのです。
インナーチャイルドとの「再会」は、やさしい対話から始まる:
自分の中の「小さな私」に、そっと語りかけてみてください。
- 「わかっているよ、あなたが怖がっていること」
- 「その怒りも、悲しみも、ちゃんと意味があるね」
- 「言えなかったこと、今ここで聴いてあげるよ」
この“心の内での対話”は、誰かに承認されることを待つのではなく、自分自身が自分のまなざしになるという、根本的な癒しのプロセスです。
それはまるで、「ずっと待っていた子どもに、大人のあなたがようやく会いに来る」ような感覚かもしれません。
婚活が変わる──自己愛と他者愛は、同時に目覚める:
このプロセスを通じて、あなたの自己肯定感は「成果」や「評価」によるものではなく、ただ「生きていていい」「感じたいだけ感じていていい」という、存在レベルの信頼感として育っていきます。
そして、自分の“そのまま”を認められるようになると、不思議なことに、相手の“そのまま”にも優しさを向けられるようになるのです。
それが、成熟した愛のはじまりです。
条件を超えて、過去を超えて、ただ「今ここにいるあなた」と「私」が出会うということ。
婚活での本物の出会いとは、「完璧な人に出会うこと」ではなく…:
「わたしの中の子ども」と「あなたの中の子ども」がお互いに、少しずつ顔を見せ合いながら、「怖がってもいい」「間違えてもいい」「でも一緒にいていい」と、信じ合っていくこと。
関係を深めあい、親密感を得る、本物の出会いとは、そういう内なる対話と外なる関係が、静かに交差する瞬間から始まるのです。
第5章:お見合い婚活に活かす実践法──インナーチャイルド・エクササイズ
ここまで読んで、「インナーチャイルドとは何か」「なぜ出会いに影響するのか」は、少しずつ実感として腑に落ちてきたかもしれません。
では実際に、どうすれば婚活の場で、この“内なる子ども”と向き合い、癒し、関係性に活かすことができるのでしょうか?
ここでは、婚活カウンセリングの現場でも、効果を実感している実践的なインナーチャイルド・ワークを3つご紹介します。
いずれも、深い自己理解から“本物の出会い”へとつなげるためのステップです。
🌀エクササイズ①:「小さな頃の自分」に手紙を書く
最もシンプルで、最も深いワークです。
「7歳のわたし」や「小学校時代の自分」に向けて、手紙を書いてみてください。
問いかけの例:
- どんな子どもだった?
- どんなことが嬉しかった?
- 何に傷ついて、どこで我慢していた?
- 今、(大人の)あなたに何を伝えたい?
このワークは、あなたの「自己肯定感と自己価値の起源」に触れる作業でもあります。
言葉にして初めて見えてくる「感情の原風景」が、婚活における“今のパターン”とつながっていることに気づくはずです。
書いているうちに、「ああ、私はあの時から“選ばれること”に必死だったんだ」と、過去の自分を抱きしめたくなる瞬間が訪れるかもしれません。
🌀エクササイズ②:「仮交際中の違和感メモ」
このワークは、無意識に起こる感情反応を“見える化”するための技法です。
仮交際中に、こんな感覚が起こることはありませんか?
- 「なんとなくモヤモヤする」
- 「急に冷めてしまった」
- 「小さな一言が刺さって頭から離れない」
そういった時に、次の3つの問いで感情を言語化してみてください。
何が引っかかったのか?
そのとき、私は何歳くらいの気分だったか?
同じ感覚を、過去のどこかで体験していないか?
これは、表面上の相性問題ではなく、「内面の未解決な何か」が反応している可能性に気づくためのプロセスです。
書き出すことで、「今の相手」がトリガー(引き金)になっているだけで、本当は“昔の痛み”に反応している自分がいるだけと理解できるようになります。
🌀エクササイズ③:「子ども同士の対話」を意識する
お見合いの席でも、仮交際中でも──
ふとした沈黙やすれ違いの裏では、「大人同士の会話」だけでなく、”子ども同士の無言の対話”が起きているかもしれません。
ぜひ、こんなふうに想像してみてください:
「今、自分の中の小さな子どもは、相手に何を感じているだろう?」
「相手の中の小さな子どもは、どんな気持ちでこの場にいるのだろう?」
たとえば──
- 甘えたがっている?
- 拒否されるのを恐れている?
- 信じたいけれど、信じるのが怖い?
こうした視点を持つだけで、相手の言動への“反応”が、“共感”へと変わります。
「なんでそうなるの?」ではなく、「そうなるには理由があったのかもしれない」という想像力が、関係性の回復力を高めるのです。
ワークは「自分を知る」手段であり、「相手と出会う」土台でもある:
どのエクササイズも、「過去に戻ること」が目的ではありません。
むしろ、今のあなたが“感情の主導権”を取り戻すことが目的です。
自分の内側に耳を澄ませることは、相手と誠実につながる力を育てることにつながります。
お見合いというフォーマルな場だからこそ、仮交際という“迷いの多い・不安定な”時期には特に、こうした内面的なワークが、関係の“土台”として静かに効いてくるのです。
終章:「ふたりで子どもになれる関係」こそ、結婚の核心である
お見合い婚活は、条件を揃えて“理想の相手”を手に入れるためのゲームではありません。
それは──
自分の中の小さな子を理解し、
相手の中の古傷に寄り添い、
ときに一緒に泣き、ときに一緒に笑いながら、
ふたりで“もう一度、愛される練習”をする旅。
そう、結婚とは「ふたりで子どもになれる関係」なのです。
そして同時に、ふたりで少しずつ、大人になっていく関係でもあります。
条件のマッチングではなく、感情のチューニング:
人は、自分の“理想”に出会っても、心が動かないことがあります。
逆に、条件をすべて満たしていない相手なのに、どこかで深く惹かれてしまうこともあります。
その差を生むのは、履歴書では測れない「心の声」、
そして感情の呼吸が合うかどうかという、ごく静かな次元でのチューニングです。
愛は技術である──フロムに学ぶ、愛の出発点:
心理学者エーリッヒ・フロムは、著書『愛するということ』のなかでこう語ります:
「愛は感情ではない。愛は技術であり、成熟と努力を要する営みである」
そしてこの“技術”の核心には、まず「自分自身を愛すること」があると、フロムは明言しています。
他者を愛するには、自分を抱きしめる手を持っていなければならない。
そのままの自分で「いていい」と思える感覚──それこそが、真に誰かと出会う準備なのです。
「まなざし」が育てる、真の自己──ウィニコットに学ぶ関係の土壌:
同じく、英国の小児精神科医ウィニコットは「真の自己(true self)」は、“十分に応答的な環境”──とくに「母親のまなざし」のような他者の承認を通して育つと述べました。
この「まなざし」は、言葉ではなく存在のレベルで伝わるものです。
「あなたは、あなたでいいよ」
「感じてもいいし、怖がってもいい」
──そう語りかけてくる“見つめられる経験”こそが、人を自己肯定感と自己愛の根に立たせるのです。
婚活の中で、「心が動かない」「よくわからない違和感」が起きるとき、
それは過去に十分に注がれなかった“まなざしの記憶”──すなわち”まなざしの不在”が再演されている可能性があります。
いま、あなたに問いかけてほしいこと:
婚活とは、「条件が合う相手」を探すことではなく、
“わたしとあなた”という二つの未完了な人生が、
お互いの「小さな子ども」に気づき、
一緒に育ち直していこうとする意思を持てるか、という問いなのです。
あなたの中の小さな子に、どうか優しく問いかけてみてください。
「今の私に、恋をしてもいい?」
「このままの私で、誰かとつながってもいい?」
その問いに、小さなあなたが「うん」とうなずいたとき──
婚活は“誰かに選ばれるための試練”ではなく、自分とつながり直す場所であり、未来のふたりが出会う場所へと変わります。
【婚活メンター・ひろ】
ご案内:あなたの「内なる子ども」と出会う時間を、ご一緒に
私たちのメンタリングセッション(*)では、婚活の現場でつまずきやすい感情のループや、人間関係のパターンを一緒に紐解いていきます。
表面的な条件マッチングでは見えない「心の声」、 自分でも気づいていなかった「小さな私の願い」
──その声に耳を澄ませる時間を、ぜひ持ってみてください。
どんなに過去が複雑でも、 どんなに今が混乱していても、 “あなたの中の子ども”は、まだ愛される準備をしています。
あなた自身と、あなたの大切な誰かとの関係を、 新しい角度から再構築してみませんか?
※従来の傾聴重視のカウンセリングと区別するため、”メンタリングセッション”と呼んでいます。
▶︎詳しくは「メンタリングセッションについて」の説明ページへ